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【社会】

14歳・小説女子が作家に 都内の中2 鈴木るりかさん

中学2年で作家デビューする鈴木るりかさん。本の装画は、作品を高く評価した漫画家の西原理恵子さんが務めた=東京都千代田区の小学館で

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 東京都内の中学二年、鈴木るりかさん(13)が十七日、連作短編集「さよなら、田中さん」(小学館)で作家デビューを果たす。小学生が対象の「12歳の文学賞」(同社主催)で二〇一三年から一五年まで、史上初となる三年連続の大賞を受賞した逸材だ。十四歳の誕生日でもある発売日を前に、「少し怖い気持ちもあるが、どんな反響があるか楽しみです」と胸を高鳴らせている。 (樋口薫)

 鈴木さんが初めて小説を執筆したのは小学四年の時。「12歳の文学賞」の副賞が図書カード十万円分と知り「大好きな少女漫画雑誌が一生分買える」と思ったのがきっかけだった。

 書き上げたのは短編「Dランドは遠い」。建設作業員の母親と二人で暮らす小学六年の少女「花ちゃん」が主人公だ。テーマパークに行きたいが、家が貧しくて、母親に言い出せない。花ちゃんは悩みながら、自分の将来を考えていく。「近くに引っ越してきた母子家庭の親子を見て、お母さんと二人の暮らしってどんなだろうと想像しました」

◆「鳥肌立つような才能」

 これで見事大賞を射止めると、小五、小六で執筆した作品も大賞に輝いた。審査員の作家あさのあつこさんから「鳥肌が立つような才能」と絶賛を受け、デビューが決まった。

 今回出版する「さよなら、田中さん」は「Dランドは遠い」など五つの短編で構成され、花ちゃん一家の日常を連作形式で描いた。ユーモアを交えつつ、子どもの貧困やひきこもり、中学受験といった身近な社会問題も盛り込まれている。

 「書いているとキャラクターが勝手に動きだすので、自然にそういう話になりました。花ちゃんは母親思いで優しくて、私の理想の存在です」

 もともと大の本好きで、自宅の隣の図書館に毎日のように通っていた。顔見知りの司書からお薦めを教わり、読む本の幅が広がった。今でも週に二冊は読み、好きな作家は志賀直哉や吉村昭。新聞も毎日、隅々まで読み、記事に書かれていない「事前」と「事後」の物語を考えるのが好きだという。

 「書いていて苦労することはあまりない。学校の行事や部活で書く時間がないのが悩み」と鈴木さん。「最後に希望が感じられるお話が好きなので、自分もそういう物語を書きたい。ミステリーにも挑戦したいです」と、早くも次回作を思い描いた。

 「さよなら、田中さん」は全二百五十八ページ、価格は千二百九十六円。

◇過去の年少作家

 1991年、6歳(当時)の竹下龍之介さんが童話「天才えりちゃん金魚を食べた」でデビューした。2006年には、13歳(同)の水田美意子さんがミステリー「殺人ピエロの孤島同窓会」を出版した。

 

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