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【社会】

あおり運転「相手せず」が最善 東名2人死亡の中井PA「怖い体験」次々

萩山嘉久さんと石橋和歩容疑者がトラブルとなった東名高速下り線の中井パーキングエリア=13日、神奈川県中井町で

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 神奈川県大井町の東名高速で6月、追い越し車線に停車中のワゴン車が大型トラックに追突され、静岡市の萩山嘉久さん(45)、妻友香さん(39)が死亡した事故は、夫妻が別の乗用車とトラブルになり、進路をふさがれたのが原因だった。車同士のもめ事は身近な出来事で、2人に1人が普段からあおり運転に直面しているとのデータもある。深刻な事態を避けるにはどうすればいいのか。 (蜘手美鶴、中村真暁、清水祐樹)

 萩山さん夫妻がトラブルに巻き込まれた東名高速中井パーキングエリア(中井町)。十三日、休憩中のドライバーらに取材すると、走行中に怖い思いをした経験談が次々に寄せられた。

 横浜市の会社員寺田光宏さん(50)はこの日、高速道路に入る前の一般道で災難に見舞われた。側道から出てきた乗用車と接触寸前に。事故は避けたが、その車が追跡してきた。最後は並走され、運転席の男が窓を開けて怒鳴って去った。寺田さんは「相手にしないに限るが、追い掛けられるのはやはり怖い」。

 神奈川県座間市のトラック運転手立場(たちば)浩幸さん(53)は半年前、首都高速で乗用車に割り込まれた。クラクションを鳴らして抗議すると、乗用車が嫌がらせで急停車。「こちらも慌てて急ブレーキを踏んだが、車間距離は一メートルほどだった」と振り返る。

 埼玉県上尾市の会社員上野伊織さん(27)は一般道で信号待ちの際、後続車から運転手が降りて来て、「運転が遅い」と文句を言われた経験がある。「高速道路でも割り込みは日常茶飯事。最近子どもが生まれたので、これまで以上に安全運転に気を付けている」

 交通問題に詳しい高山俊吉弁護士は「逃げ場のない高速道路であおられるなどの行為はすごく怖い。話し合いで解決したくなるのは分かるが、相手にしないのが最善だ」と指摘。それでも追いかけ回された場合は「路側帯に車を寄せ、走行車線や追い越し車線に停車することは避ける。ドアをロックして絶対に外に出ず、一一〇番して警察が来るのを待つしかない」とアドバイスする。

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◆危険運転致死傷に立件に法の「壁」 過失致死傷罪適用

 神奈川県警は、萩山さん夫妻とトラブルになった福岡県中間市の石橋和歩容疑者(25)を、自動車運転処罰法の過失致死傷容疑などで逮捕した。当初は、最高刑が懲役二十年と約三倍の同法の危険運転致死傷容疑で立件を目指したが、法律の「壁」で断念していた。

 萩山さんのワゴン車が追い越し車線で止まったのはなぜか−。県警は事故当時、現場近くにいた二百六十台以上の車を割り出し、運転手を聴取。ドライブレコーダーも分析した。

 その結果、事故の約三分前、現場の約一・四キロ手前の中井PAで、石橋容疑者の車が通路をふさぐように停車していたのを突き止めた。たばこを吸っていた石橋容疑者を、萩山さんが注意。その後、石橋容疑者が萩山さんのワゴン車を高速道路で執拗(しつよう)に追跡し、何度も前方に割り込んで進路をふさぎ、追い越し車線に停止させたとみている。

 萩山さんのワゴン車に衝突したのは後続の大型トラックだが、県警は石橋容疑者の運転が事故につながったと断定。危険運転致死傷罪の対象の六項目の一つ「通行妨害目的で、走行中の車の直前に進入すること」に当たるか検討した。

 しかし、同罪に問えるのはあくまで「運転する行為」。事故は石橋容疑者が萩山さんの車を止め、車を降りた際に起きており、運転行為が中断していたため同罪の適用は見送った。

 代わりに、危険な運転と事故に因果関係があれば立件できる自動車運転処罰法の過失致死傷罪を適用した。たとえば、急に進路を変えた車を避けようとしてバイクが転倒した場合、車の運転手に適用されるなど、車両同士が接触していなくても刑事責任を問うことができる。 (加藤益丈)

 

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