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【社会】

東海村、再稼働か廃炉か 「中ぶらりん 村民に負担」

原発や原研周辺に並ぶ旅館。人の姿はほとんどみられない=16日、茨城県東海村で

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 首都圏唯一の原発で、来年十一月に運転期限の四十年を迎える茨城県東海村の日本原子力発電(原電)東海第二原発。原発政策は衆院選の大きな争点の一つだが、東海第二の再稼働を巡る議論は深まっていない。村はこれまで経済的に原発に大きく依存しており、共産以外の衆院選候補者は原発問題に及び腰だ。一方で、村民の間では廃炉や活発な議論を求める声が聞かれた。 (山下葉月)

 東海第二や廃炉中の東海原発、日本原子力研究開発機構の敷地が接する国道245号周辺には、原発作業員向けのホテルや、旅館五軒ほどが並ぶ。人通りは少なく、活気があるようには見えない。

 原発近くの「沼田屋旅館」を妻と切り盛りする相澤広さん(62)は「今は、作業員はほとんど来ない。高校や大学の合宿で利用してもらって、なんとかやっている」とため息を漏らす。

 東日本大震災で東海第二が停止して以降、客は約二割ほど減少し、黒字に転じたことはないという。「旅館なので電気代もかなりかかり、経営は厳しい。正直、早く原発は動いてほしい」と打ち明ける。原発再稼働を推進する自民党に投票する考えだという。

 村は二〇一四年、大震災が及ぼす村内経済への影響を調査。宿泊や飲食業について「経常利益が悪化し、今後の見通しも極めて厳しい」との結果をまとめた。「村民の三分の一が原子力関係者」とされるこの村は原発に大きく依存する。

 とはいえ、東京電力福島第一原発事故をきっかけに、村民でも再稼働に反対の意思を示す人も増えてきた。八月の知事選では、再稼働反対を掲げた候補者二人が村内で計八千五百票を得て、賛否を明言しなかった自民推薦の候補者を約千五百票上回った。

 村の会社員小池克弥さん(49)は「地域のお祭りでは原発関係者がお金を出してくれるし、村の道路は広くて、とてもきれいなのは、ありがたい」と話す。

 ただ、高齢の父親と二人暮らしで、事故時の避難が心配だといい「長い間、原発は止まっていたが、電気は足りている。老朽化した原発をわざわざ動かす必要はない」と断言する。

 村がある衆院茨城5区の自民と希望の候補者は、本紙のアンケートに、再稼働に賛成を明言している。同区は原発メーカーの日立製作所のある日立市が大票田。二人は選挙戦でも、再稼働の是非にはあまり触れていない。共産だけがはっきりと反対を打ち出す。

 村内で酒屋を経営する男性(62)は「政治家は、逃げずに議論してほしい」と訴える。「作業員が夜、酒を買ってくれないので、売り上げは下がり、大変な状況だ」とこぼすが、事故が起きれば、三十キロ圏に暮らす約九十六万人が避難することを考えると、廃炉も考えるようになった。

 「再稼働か廃炉か、議論を避けて結論を出さずに中ぶらりんでいることが、村民にとって一番の大きな負担です」

<東海村と原発> 原子力研究の中核拠点になる日本原子力研究所の東海研究所が1957年に設置され、日本初の研究用原子炉が臨界に達した。66年には、日本初の商用原子炉の東海原発(現在は廃炉作業中)が営業を開始。99年には、核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)で臨界事故が起き、2人が死亡した。今も、核燃料の加工施設や日本原子力研究開発機構などがあり、昨年度の固定資産税収入約83億円のうち、原子力関係だけで約34億円を占める。

 

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