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【社会】

重力波 発生源とらえた 合体 中性子星から光

日本チームが観測した中性子星合体の光(2本の直線の交点にある小さな点)。直後の8月18〜19日は可視光が強かったが、24〜25日には赤外線が強くなった。右下の大きな明るい輝きは銀河=国立天文台・名古屋大提供

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 二つの中性子星が合体して発生した重力波を初めてとらえたと欧米の観測チームが十六日、発表した。これまではブラックホールから出た重力波しか観測されていなかった。また、日本などの天文台が合体後の中性子星から出る光をとらえた。重力波の発生源となった星を特定したのは今回が初めて。新しい天文学の始まりを告げる成果だ。

 重力波をとらえたのは米国のLIGO(ライゴ)、欧州のVIRGO(バーゴ)という二つの重力波望遠鏡。波の形を分析した結果、恒星が爆発した後にできる密度の高い中性子星が互いに周回しながら徐々に近づいて合体する際に出た重力波と分かった。ブラックホールの合体による重力波は、明確なものはこれまで四回観測されているが、中性子星では初めて。

 重力波の形など特徴の分析から、衝突した二つの中性子星の重さは太陽のおよそ一・二〜一・六倍。半径は十五キロ以下と推定される。地球からの距離は約一億三千万光年という。

 重力波の観測直後に、国立天文台や名古屋大など、日本を含む世界約七十カ所以上の望遠鏡で、波が飛来した「うみへび座」の方角を観測。合体後の中性子星の周囲が光っている様子をとらえた。重力波を出した天体の位置がはっきり分かったのは初めてだ。ブラックホールは光らないため発生源の特定が難しかった。

 また、合体した中性子星から放たれる光が弱まる様子から、これまで謎に包まれていた金やプラチナなどの重い元素が合成される仕組みを解き明かす有力な証拠が得られたという。

 重力波は一昨年、初めて観測され、十月には米観測チームの三人がノーベル物理学賞を受けることが決まったばかり。宇宙の謎を解く有力な観測手段として期待されている。

 <重力波> 物体が動くと周囲の空間がゆがみ、波のように宇宙に広がっていく現象。「時空のさざ波」とも呼ばれる。アインシュタインが1916年に存在を予言した。重い天体が動くと大きな重力波が出て地球にも到達するが、空間のゆがみがごくわずかなため長く検出できなかった。2015年に重力波望遠鏡「LIGO」のチームが二つのブラックホールが合体して出た重力波を初めて観測し、今年のノーベル物理学賞に決まった。(共同)

 

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