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【社会】

井山、2度目7冠 囲碁・将棋界で初 名人位を奪還

囲碁の第42期名人戦7番勝負の第5局で、高尾紳路名人を破り名人位を奪還、7冠を達成した井山裕太=17日午後、静岡県熱海市で

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 囲碁の井山裕太六冠(28)=棋聖、本因坊、王座、天元、碁聖、十段=が十七日、昨年失った名人を奪取し、十一カ月ぶりに七大タイトルすべてを保持する七冠同時制覇を果たした。二度目の七冠独占は囲碁界、将棋界を通じて初めて。

 静岡県熱海市で十六日から打たれた第四十二期名人戦七番勝負の第五局で、挑戦していた高尾紳路(しんじ)名人(40)に百九十七手で黒番中押し勝ちし、対戦成績四勝一敗でタイトルを獲得した。

 対局後、井山七冠は「もう一度の七冠というのは現実的ではないと思っていたので、まだ信じられない。一度目の時より全体的に成長した姿を見せられた」と冷静に喜びを語った。

 井山七冠は中学一年でプロ入りし、二〇〇九年に史上最年少の二十歳四カ月で名人を獲得。昨年四月には囲碁界初の七冠独占を達成し、六カ月半維持したが、前期の名人戦で挑戦者の高尾九段にフルセットで敗れ、六冠に後退していた。

 その後、保持するタイトルをすべて防衛。名人戦挑戦者決定リーグ戦も八戦全勝で挑戦を決めた。七番勝負では初戦を落としたものの、第二局から一気の四連勝で七冠に返り咲いた。

 将棋界では、羽生善治棋聖(47)が一九九六年に史上初めて七冠を独占。五カ月半後に六冠に後退して以降、現在まで七冠への復帰は果たしていない。

◆世界を意識「今が一番成長」

 「碁の神さまにほんの少しは近づけたかな」。終盤まで形勢が二転三転する難解な碁を制し、対局直後は厳しい表情だった井山七冠だが、記者会見の席上では笑みがこぼれた。

 「一度目は幸運が重なって達成できたが、今回は安定感が出てきた。棋士人生の中で今が一番成長できている」。初めて七冠を独占した昨年四月からの「進化」を強調した。敗れた高尾紳路前名人も「井山さんは打てば打つほど強くなっていく」と脱帽した。

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 成長の背景には、実力で日本勢を上回る中国や韓国の棋士たちの存在がある。今年、井山七冠はタイトル戦の合間を縫って世界戦に参加した。「なかなか思うような結果は残せていないが、得るものは大きく、国内戦にもいい影響が出ている」と分析する。

 囲碁界は、人工知能(AI)の台頭がプロの対局にも影響を与えるなど、激変期にある。「AIはこれまで人間が試してこなかった手をどんどん打っており、碁は本当に自由だと実感した。私も自分らしい碁を追求していきたい」と、なお高みを見据えた。 (樋口薫)

<井山 裕太(いやま・ゆうた)> 1997年、小学2年生で全国少年少女囲碁大会に優勝。2002年にプロ入り、05年には阿含・桐山杯全日本早碁オープン戦を16歳4カ月で制し、一般棋戦優勝の最年少記録を樹立した。7大タイトル獲得は、棋聖5、名人6、本因坊6、王座4、天元5、碁聖6、十段4の計36期。大阪府東大阪市出身。日本棋院関西総本部所属。

 

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