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【社会】

逃げ場失い「指導死」 教員から激しい叱責 福井中2自殺

生徒の自殺についての報告書が公表され、謝罪する福井県池田町立池田中の校長(中央)ら=15日、池田町で

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 福井県池田町立池田中二年の男子生徒=当時(14)=の自殺は、教員の厳しい指導や叱責(しっせき)が原因だったことが明らかになった。町の調査委員会がまとめた報告書からは、追い詰められる生徒の姿が浮かぶ。専門家は、教員の指導が原因で子どもが自ら命を絶つ「指導死」の典型だと指摘。逃げ場を失った子どもたち、その保護者に「緊急避難のためには学校に行かないことも重要だ」と呼び掛けている。

 ▼土下座

 「担任、副担任の厳しい指導、叱責にさらされ続けた生徒は、孤立感や絶望感を深め、自殺するに至った」。十五日に町の教育委員会が公表した調査委の報告書は、自殺の原因をこう指摘し、それまでの経緯をつづった。

 昨年十月のマラソン大会当日。運営担当だった生徒は、準備の遅れを理由に担任から校門前で怒鳴られた。目撃した生徒は「(聞いている人が)身震いするぐらいだった」と証言した。

 同十一月には副担任から未提出の課題について追及される。「できないならやらなくてよい」と突き放す副担任に、生徒は「やらせてください」と土下座しようとした。

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 ▼教員のいじめ

 生徒はSOSを出していた。自殺後に行われたアンケートで、この生徒が「死にたい」と口にしていたのを、複数の生徒が耳にしていたことが判明する。

 なぜ救えなかったのか。報告書は「学校の対応に問題があったと言わざるを得ない」と批判。教員の一人は、生徒の特性に合った指導方法を考えるよう担任に助言したが、担任は「手加減している」と答えたという。

 校長と教頭は、担任の大声での叱責や、生徒と副担任との関係に問題があると把握してはいたが、担任や副担任から逐一報告があったわけではなく、学校を挙げて生徒に寄り添った対応をすることはなかった。

 生徒の母親は「教員によるいじめだ。他の先生も見て見ぬふりをした」と強く非難した。

 ▼氷山の一角

 「まさに『指導死』だ」。この言葉を提唱した「『指導死』親の会」共同代表の大貫隆志さん(60)はそう指摘する。

 大貫さんによると、新潟県で二〇一二年に自殺した県立高三年の男子生徒のケースも指導死に当たるという。この生徒は、部活の不満を会員制交流サイト(SNS)に書き込んだことに対する顧問の指導を契機に命を絶っていた。

 文部科学省の問題行動調査によると、〇七〜一五年度に自殺した小中高生のうち、「教職員との関係で悩んでいた」と学校から報告があったのは計十三人。

 だが「統計は氷山の一角。指導死は体罰を伴わないケースが多く、表面化しにくい」と大貫さん。「多くの教員が大声での指導を問題視しておらず、教員一人一人が認識を改める必要がある」と話した。

 

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