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【社会】

広辞苑10年ぶり改訂 【LGBT】【ブラック企業】【がっつり】…など1万項目

10年ぶりの改訂となる岩波書店の国語辞典「広辞苑」改訂版(第7版)=24日午後、東京都千代田区で

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 岩波書店は二十四日、国語辞典「広辞苑」の改訂版(第七版)を来年一月十二日に刊行すると東京都内で発表した。二〇〇八年一月以来、十年ぶりの改訂。「安全神話」「デトックス」「ブラック企業」「がっつり」など、第六版の刊行後に定着するなどした新しい言葉約一万項目を追加し、総項目数は約二十五万となる。

 岩波書店の岡本厚社長は「偽とかフェイクとか、事実でない言葉が飛び交う現代だからこそ、本物の、誠実な、確かな仕事に価値がある。苦境の続く出版界において、岩波書店の底力を示すことができた」と話した。

 キャッチコピーは「ことばは、自由だ。」。岡本社長は、新たに追加された「LGBT」(性的少数者)などを例に、「自分だけが苦しんでいると思っていることが、言葉を獲得することによって多くの人々と共通する問題であることが分かる。それが人を楽にし、自由にする」と力説した。

 他に収録された新語は「浜通り」(福島県)、「東日本大震災」など。それ以外では、昔からある言葉に新たな意味が加わった例も。「炎上」の項目では「インターネット上で、記事などに対して非難や中傷が多数届くこと」と付記した。

 百四十ページ増の三千二百十六ページだが、紙を改良することで厚さを第六版と同一にした。普通版は九千七百二十円で、二分冊の机上版(一万五千百二十円)も発行。それぞれ来年六月三十日までの割引価格も設定し、同日までに計二十万部の販売を目指すという。スマートフォン向けのデータ提供サービスも検討している。

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◆深刻「紙の辞書」離れ

 一九九一年の第四版が二百二十万部。九八年の第五版は百万部。二〇〇八年の第六版は五十万部…。国民的辞典といわれてきた広辞苑も、版を重ねるたびに発行部数は半減。第七版の当面の目標は二十万部という。言葉の意味や漢字を調べるのは、スマートフォンやタブレット端末で容易にできてしまう。「紙の辞書」の苦境は深刻だ。

 「大人向けの辞書は、『紙』で大きな売り上げを出すのは難しい」と語るのは小学館の中型国語辞典「大辞泉」の板倉俊編集長。大辞泉は紙の辞書からデジタル版に軸足を移している。年三回の更新で、多いときには二千語近くを追加し、電子辞書やウェブ上の辞書、アプリ版などで利用者の多様なニーズに応えている。三省堂の「大辞林」も年に数回のペースでデジタル版のデータを更新している。

 ただ、岩波書店の桑原正雄常務は「インターネットで辞書を安く、または無料で提供し、日々更新していくのでは全く採算がとれず、今回のような大掛かりな改訂もできなくなる。その道には進まない」と述べた。

 

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