東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 10月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

太宰の「斜陽」原稿発見 直しなく力強い文字 漱石自画像絵はがきも

新たに見つかった「斜陽」の直筆原稿

写真

 新潮社は二十五日、所在不明となっていた作家太宰治の小説「斜陽」の直筆原稿四枚や、文豪夏目漱石の自画像入りの絵はがきなど資料約三十点が、同社の佐藤俊夫元会長の遺品から見つかったと発表した。近代文学を彩った作家たちの創作過程や横顔を示す貴重な資料。

 「斜陽」は文芸誌「新潮」に一九四七年七月号から十月号に計四回にわたり掲載された。見つかったのは第三回と第四回の冒頭二枚ずつ。調査に当たった早稲田大の中島国彦名誉教授は「直しがあまりなく、スッとほとばしり出るように書かれた力強い文字から、太宰の『斜陽』への強い思いが伝わる」としている。

 「斜陽」の原稿は、日本近代文学館(東京都目黒区)が計五百二十一枚を所蔵しているが、六枚が欠けていた。このうち四枚が今回見つかった。

 「斜陽」は四七年十二月刊行の単行本がベストセラーとなったが、その半年後に太宰は自殺した。

 一方、漱石の自画像は、「吾輩(わがはい)は猫である」を発表した〇五年に、旧制五高時代の教え子に出した絵はがきに描かれていた。自画像の左下には「中々(なかなか)好男子だ」との漱石の書き込みもある。

 その他、完成稿とは書き出しが全く異なる二葉亭四迷の小説「其面影(そのおもかげ)」の草稿、石川啄木が故郷の知人に送った書簡も発見。菊池寛が卒業旅行中の芥川龍之介と久米正雄に送ったはがき、島崎藤村の短編小説「ある女の生涯」の原稿も含まれていた。

 新潮社は、資料を十一月二十二日から二十六日まで東京・神楽坂の商業施設「ラカグ」で一般公開するほか、一部を今月三十一日刊行の「『文豪とアルケミスト』文学全集」に収録する。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報