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【社会】

学校いじめ 最多32万件 積極把握で増 小学校で1.5倍に

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 文部科学省は26日、全国の国公私立小中高、特別支援学校が対象の2016年度児童生徒の行動に関する調査結果を公表した。いじめ認知件数は軽微なものも積極把握するとの文科省方針もあり、前年度から小学校で1.5倍に急増。全体で9万8676件増(43.8%増)の32万3808件と過去最多を更新した。心身に大きな被害を受けるなど、いじめ防止対策推進法で規定する「重大事態」は374校で400件(86件増)。自殺した児童生徒は244人で、うち10人がいじめに遭っていた。

 文科省は「いじめを早めに把握し、対応できているのであれば、子どもたちを救う望ましい傾向に進んでいる」としている。一方、認知件数ゼロの学校が全体の約三割を占め、千人当たりの件数も都道府県でばらつきがあった。

 認知件数は、小学校が二十三万七千九百二十一件(八万六千二百二十九件増)で特に低、中学年の増加が顕著。中学校は七万一千三百九件(一万一千八百七件増)、高校は一万二千八百七十四件(二百十件増)だった。

 具体的な内容は「冷やかしや悪口」が全体の62・5%と最多だった。会員制交流サイト(SNS)など「パソコンや携帯電話での中傷、嫌がらせ」は全体で3・3%だが、高校に限ると17・4%と二番目に多い。

 調査では今回から、けんかやふざけ合いといった軽微なものも、一方的であればいじめに含むこととしている。

 自殺した二百四十四人のうち、教職員との関係で悩みを抱えていたのは三人。文科省は明らかにしていないが、担任らの叱責(しっせき)で今年三月に自殺した福井県の中学二年男子を含むとみられる。

 暴力行為は小中高全体で五万九千四百五十七件(二千六百五十一件増)。特に小学校は二万二千八百四十七件と、五千七百六十九件増えて過去最多を更新した。不登校は全体で十八万二千九百七十七人(七千四百二十三人増)。児童生徒全体に占める割合は1・4%だった。

     ◇

 首都圏の一都六県でも国公私立の小中高校、特別支援学校のいじめ認知件数は、前年から大きく増えた。千葉県は三万二千二百二十八件で、都道府県別で最多。東京都は一万九千二百三十件で、前年度の約二・八倍に増えた。

2015年に自殺した中島菜保子さんの写真を見つめる両親=茨城県取手市で

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◆自殺の10人 いじめ被害「兆候見逃さないで」

 当事者が苦しんでいても、軽いふざけ合いやからかいとして学校がいじめと判断せず、不登校や自殺などの重大事態につながるケースが後を絶たない。遺族らは「いじめられていると言えない子も多い。学校は小さな兆候でも見逃さないで」と訴える。

 「先生は何も分かってない」。二〇一五年十一月、茨城県取手市立中三年の中島菜保子さん=当時(15)=は、自宅で母淳子さん(47)を前に泣きじゃくった。同級生がガラスを割った場にたまたま居合わせ、一緒に教員から怒られたという。「(その同級生から)無視、嫌がらせを受けている」と母に話し、夜中に自ら命を絶った。

 仲間外れ、机に落書き−。中島さんの死後、両親はいじめをうかがわせるような証言を同級生から聞いた。生徒同士が寄せ書きをするアルバムには「きらい」「うざい」の文字。学校からは何も知らされていなかった。

 取手市教育委員会は一六年三月、「いじめを確認できなかった」として「重大事態には該当しない」と議決したが、文科省の指導を受けて撤回した。撤回後、幹部は「からかいがあったと認識していたが、それほど重いものとは考えていなかった」と明かした。

 淳子さんは「先生は、なぜ向き合ってくれなかったのか」と悔やむ。

 いじめ予防のための政策提言や、教員研修などに取り組むNPO法人「ストップいじめ!ナビ」(東京)の副代表須永祐慈(ゆうじ)さん(38)は「深刻化する前にいじめの芽を摘み取るためにも、学校現場に具体的なノウハウを伝えていくことが大切だ」と話している。

 

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