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【社会】

国連委採択 核廃絶決議、賛成国は減少 抑止力前提 日本に反発

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 【ニューヨーク=赤川肇】国連総会第一委員会(軍縮)で二十七日採択された日本主導の核兵器廃絶決議は、米国や昨年棄権の英仏の核保有国を含む百四十四カ国の賛成を得たが、七月に採択された核兵器禁止条約に触れず、核兵器の非人道性についての表現が後退しており、条約推進国を中心に昨年より十カ国多い二十七カ国が棄権に回った。昨年より賛成が二十三カ国減り、百五十カ国を下回ったのは二〇〇三年以来十四年ぶり。

 昨年と同じ中国、ロシア、北朝鮮、シリアの四カ国が反対。条約推進国のブラジル、ニュージーランドなど二十七カ国が棄権した。

 決議は核拡散防止条約(NPT)の重要性や強化を従来通り主張。北朝鮮の核・ミサイル開発を踏まえ、昨年より安全保障や核抑止力を重視する姿勢を明確にした。

 「核兵器の全面廃絶に向けた共同行動への決意」をうたった本文第一項では、昨年の「核兵器なき平和で安全な世界を目指して」との文言を削除。「国際的な緊張関係を緩和し、NPTで想定された国家間の信頼を強化し」と挿入した。

 百二十二カ国の賛成で採択された核兵器禁止条約を巡っては、日本や核保有国は不参加の立場。今回の決議でも核保有国の支持を優先して一切言及せず、新たに「核兵器のない世界の実現に向けたさまざまなアプローチに留意する」との一節を設けた。

 核兵器を非合法化する核兵器禁止条約が制定された中、核抑止力を前提にした決議に批判も相次いだ。昨年は共同提案国だったオーストリアのトーマス・ハイノツィ軍縮大使は「国際的な緊張関係を緩和」「国家間の信頼を強化」との文言が加わった決議を「核軍縮を後回しにする書きぶりだ」と日本の変節を疑問視した。

 日本の決議は今回で二十四年連続の採択。年内にも国連総会本会議で採決され正式な決議となる。

◆「唯一の被爆国」存在埋没

 日本主導で国連総会第一委員会(軍縮)で採択された核兵器廃絶決議案は、賛同国を昨年から二十三カ国減らした。核兵器を非合法化する核兵器禁止条約の採択や、同条約を推進した「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のノーベル平和賞受賞で核廃絶の機運が高まる中、唯一の戦争被爆国の存在が埋没する皮肉な結果となった。 (大杉はるか)

 賛同国が減った背景には、核軍縮に対する日本の姿勢がある。外務省幹部は「『核兵器禁止条約は、核保有国と非保有国の溝を深めるから正しくない』という日本の主張に、イエスと言わない国が相当いる」と認める。

 同条約は、七月に百二十二カ国の賛成で採択された。核拡散防止条約(NPT)が、核兵器国に核軍縮交渉の努力を求めているにすぎず、削減が進まないとの不満が採択を後押しした。核保有国は「国際的な安全保障の現実を無視している。核抑止政策と相いれない」(米英仏の共同声明)などと不参加。米国の核抑止力に依存する日本も「核兵器国を巻き込まなければ意味がない」と参加を見送った。今回の決議案でも条約に直接触れていない。

 外務省幹部は「北朝鮮の核放棄が見込めない中(米国と)逆のことをやるのは、核なき世界の実現に資さない」と話す。北朝鮮の脅威を前に、安保と核軍縮を切り離せないとの説明だ。

 二十八日に出された河野太郎外相の談話では「全ての国が核軍縮の取り組みにコミット(関与)できる共通の基盤の提供を追求した」と決議案の意義を強調した。だが、賛同国が減ったことを考えると、日本の立場や主張が十分に理解されたとはいえない。核軍縮に向けて政府が目指す「核保有国と非保有国の橋渡し」の実現は、より困難になった。

 

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