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【社会】

認知症のおそれ 3万人 増える高齢ドライバー

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 七十五歳以上の高齢運転者を対象にした認知症対策が強化された改正道交法が施行された今年三月十二日から九月末までの半年間に、検査で認知症の恐れがあると判定されたのが三万人超に上ったことが、警察庁のまとめで分かった。このうち、六百九十七人が医師に認知症と診断され、運転免許が取り消し・停止された。

 警察庁によると、施行からの半年で、百十一万七千八百七十六人(暫定値)が認知機能検査を受け、認知症の恐れがあると判定されたのは2・7%の三万百七十人。

 このうち免許の自主返納などを除き、七千六百七十三人が医師の診断を終えた。施行後半年で受診者が千九百三十四人だった昨年一年間の四倍増となった。認知症と診断されて免許が取り消された人が六百七十四人、免許が停止されたのが二十三人だった。ほかに医師の診断待ちなどが約一万人いるため、これらの人数はさらに増える見通し。

 七十五歳以上で免許を自主返納したのは、今年一〜九月で十八万四千八百九十七人(暫定値)で、過去最多だった昨年一年間の十六万二千三百四十一人をすでに上回っている。

 「認知症の恐れ」と判定された人数を都道府県別で見ると、多いのは愛知の千五百三十六人、茨城、神奈川の千二百五十六人など。東京は八百十六人だった。

 警察庁は「医師会などとの協力で、改正道交法は円滑に施行されている。高齢ドライバーの増加を見据えて、さらなる対策を検討する」と説明している。

◆生活の足 支えが課題

 改正道交法の施行後半年で、認知症と判明して運転免許が取り消し・停止となった高齢ドライバーは、既に昨年一年間の人数を上回った。七十五歳以上の免許保有者は二〇二一年までに百万人増える見通しだ。事故防止への取り組みが急がれる一方で、高齢者の生活を支える視点も欠かせない。運転できる車種や時間帯などを指定する限定免許の検討など、運転能力に応じたきめ細かな対策が模索されている。

 昨年十月、横浜市港南区で集団登校中の児童に突っ込んだ軽トラックのドライバーは、認知症であることが事故後に判明した。当時八十七歳の男性は症状を自覚しておらず、小学一年の男児ら八人が死傷したものの「過失責任が問えない」として不起訴になった。

 警察庁では、昨年末に五百十三万人だった七十五歳以上の免許保有者は、二一年には六百十三万人になると推計。事故をどう防ぎ、日常の移動手段の確保など、高齢者の生活をどう支えていくかが課題になる。

 同庁は有識者らの検討会議を設置。初期の認知症などを念頭に、認知機能に応じた対策を調査研究するほか、アクセルとブレーキを踏み間違えても加速を抑える「安全運転サポート車」などに限定する運転免許に関して、海外事例などをもとに導入の可否を検討している。(石川修巳)

 <認知機能検査> 3年ごとの免許更新時に加え、更新前でも認知機能の低下が疑われる信号無視、逆走などがあった場合、受検を義務化。約30分の筆記検査で、指定の時刻を示すように時計の針を文字盤に書いたり、イラストを記憶して何が描かれていたかを答えたりする。点数に応じて「認知症の恐れ」「認知機能が低下している恐れ」「記憶力・判断力に心配がない」の3段階に分類。認知症の恐れがある場合は医師が診断し、認知症ならば運転免許が取り消し・停止になる。

 

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