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【社会】

「全財産くれたら殺してあげる」 白石容疑者、SNSで自殺誘う

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 神奈川県座間市のアパートで九人の遺体が見つかった事件で、白石隆浩容疑者(27)が「首吊(くびつ)り士(し)」「死にたい」という複数のハンドルネーム(ネット上の仮名)で会員制交流サイト(SNS)ツイッターを使っていたことが二日、捜査関係者への取材で分かった。自殺を勧める書き込みもあり、警視庁は自殺願望のある女性を誘い出すのに利用していたとみている。やりとりを重ねた千葉県の女性(21)が取材に応じた。 (中沢誠、蜘手美鶴、谷岡聖史)

 「自分が被害者になっていたかもしれない」。白石容疑者が使ったハンドルネーム「死にたい」とやりとりを重ねた女性は二日、こう漏らした。

 女性は八月下旬、ツイッターに「一緒に死ねる方を募集しています」と書き込んだ。すると九月六日になって、「本気ですか?」と返信があった。本気だと答えると、「一緒に死にますか? 道具も場所もそろってて、実行するだけです」とのメッセージが届いた。

 相手は、二十四歳の「りょう」と名乗った。自分との心中を勧め、無料通信アプリ「カカオトーク」を使った電話やメッセージで身の上を語った。「自殺願望が芽生えたのは高校二年」「運動部の生徒からいじめを受けたのがきっかけ」「根暗でごめんね」

 送ってきた画像は、うつむき気味の、ひ弱な青年。応対は謙虚で、声は爽やかだった。親密になると「人を殺したことがある」「遺体を埋めたことがある」という「告白」も聞かされたが、うそだと思った。

 十月三十一日は女性の二十一回目の誕生日。この日に都内の水族館で初めて会おうと、約束まで交わした。

 しかし、その直前の十月下旬になって、電話で言われた一言に気が変わった。「全財産をくれたら、今すぐ殺してあげる」。これで気持ちが冷めた。

 三十一日に白石容疑者が逮捕された後、インターネットで写真を見てハッとした。画像の「りょう」が、容疑者として映っていたから。「会わなくて本当に良かった。本当に怖い」。こう振り返る女性は今、自殺願望はないという。

 一方、「首吊り士」のハンドルネームがツイッターに登録されたのは九月中旬。「首吊りの知識を広めたい 本当につらい方の力になりたい」。こんなプロフィルを掲げた。

 直後には、自殺願望を書き込んだ人物に「首吊り自殺予定でしょうか?」とメッセージを発信。別の人物には「失敗して大怪我(けが)するくらいなら、同じ関東に住んでいるので力になりますよ」と、自殺の手助けをにおわせている。

 「練炭自殺はハッキリ言って苦しい」「苦しむ時間で比べるなら首吊りのほうが短い」など、自殺の方法に詳しいと思わせる書き込みが目立つ。「友人、家族、SNSに連絡を入れるのはNG」という「助言」も。相手を孤立させ、自殺を思いとどまらないようにする目的があったとみられる。

◆「女性暴行も目的」供述

 白石隆浩容疑者が動機について「女性に暴行する目的もあった」と供述していることが、捜査関係者への取材で分かった。ツイッターを通じ自殺願望のある女性らに接触していたが、「(殺害時に)相手の同意は得ていなかった」「金を奪うためだった」とも供述しており、警視庁は動機の解明を進めている。

 捜査一課によると、白石容疑者は九人全員の殺害を認めている一方で、「本名や年齢は知らなかった」と話している。

 一人から奪った金額は最大で五十万円で、千円程度と少額の被害者も複数いた。

 最初に殺害したと供述している女性と、行方不明の東京都八王子市の女性(23)の少なくとも二人については、ツイッターで知り合ったという。

 捜査一課は、ツイッターに自殺願望を書き込んだ女性らに、自殺の手助けを装って近づき、自宅アパートに誘い込んだ可能性があるとみている。

 

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