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【社会】

座間事件発覚1週間 犯行次々 解けぬ「なぜ」

9人の遺体が見つかった現場のアパート(左端)。近くに花が供えられていた=5日、神奈川県座間市で

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 神奈川県座間市のアパートで九人の遺体が見つかった事件は、六日で発覚から一週間となる。事件の輪郭が徐々に浮かぶ一方で、依然として謎は多い。白石隆浩容疑者(27)=死体遺棄容疑で逮捕=は「二カ月で九人を殺害した」と供述しているが、何がきっかけとなり、駆り立てられるように犯行を繰り返したのか。警視庁は動機の解明を急ぐ。 (谷岡聖史)

 「女性はどこだ」「この中です」−。十月三十日夕、行方不明になった東京都八王子市の女性(23)の所在をただす捜査員に、白石容疑者が部屋の玄関にあったクーラーボックスを指さして答えた。中には二人の頭部が入っていた。クーラーボックスなど計八つの箱が部屋中に置かれ、遺体は九人にまで増えた。

◆ロフト付きに固執

 現場に白石容疑者が引っ越したのは八月二十二日。「ロフト付きの部屋をやっと見つけた」。九月上旬、知人女性にそう語ったという。供述では「ロフトからぶら下げたロープに首を掛けて殺した」という。事件を起こす目的で部屋を借りた疑いがあり、計画性をうかがわせる。

 自宅に誘い込んだ女性らをリラックスさせるため準備したという睡眠薬が、現場で見つかった。遺体には、水分や臭いを吸収する猫のトイレ用の砂をかぶせてあった。

 アパートに入居してからの二カ月間、会員制交流サイト(SNS)のツイッターに自身の自殺願望を明かす「死にたい」と、自殺を手助けする「首吊(くびつ)り士」という二つの仮名で発信を続けた。自殺願望を持つ女性に同情を装って、接触を図ったとみられる。「自身の自殺願望はうそ」と供述している。

◆週1人のペースで

 用意周到に準備を進めていたようにも見えるが、事件を起こすきっかけと、短期間に九度も繰り返した理由は、謎のままだ。

 二月に職業安定法違反の疑いで逮捕され失職。アパートに入居した八月下旬も無職だった。「金を奪う目的だった。暴行目的もあった」と供述し、最初に殺害した可能性のある女性からは「五十万円を奪った」と明かしている。

 だが、奪ったのは千円程度のときもあったといい、金目的だとしたら、ずさんに見える。父親に六月、「生きている意味がない」と話していたが、事件との関連は不明。これまで出ている供述の内容は、単純計算で週に一人のペースで遺体を切断するという猟奇的事件に結び付かない。

 警視庁は遺体への執着や快楽殺人といった見方を否定している。捜査幹部は動機について「納得できない。何かを隠しているのではないか」と首をかしげる。

 別の捜査幹部は「真相を解明するためにも、まずは遺体の身元を特定しなければならない」と話す。診察券やキャッシュカードなど女性六人の重要な手掛かりが見つかり、特定作業は加速している。

 遺体の一部が捨てられたり、腐敗したりして死因が特定できないなど捜査の難航が予想される中、警視庁は白石容疑者の取り調べで録音録画を実施。裁判員裁判の対象となる殺人容疑での立件を視野に、事件の解明を急いでいる。

 

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