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【社会】

「命の門番」が必要 座間事件後もネット自殺投稿

10代から会員制交流サイトで自殺願望を発信していた女性は「そこにしか私の居場所はない」と語る=東京都内で(池田まみ撮影)

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 神奈川県座間市で九人の遺体が見つかった事件では、白石隆浩容疑者(27)=死体遺棄容疑で逮捕=が会員制交流サイト(SNS)を悪用し、若い女性らに接触していた。インターネットの仮想空間は本心をさらけ出せる居場所。しかし、自殺を助長したり、犯罪被害の入り口ともなる。専門家は、若者の思いを受け止める専門組織をつくるべきだなどと提言し、「命の門番」の必要性を指摘する。 (神田要一、石川修巳)

 「学校を辞めたいとだけ思っていたけど…今になっては死にたい」(高校二年)、「誰か一緒に死にませんか」(中学三年)。ツイッターには八日も、自殺願望を吐露する十代の若者の書き込みが並ぶ。

 「現実世界で吐き出せないことも、見えない相手には言える。共感してくれる人が多いツイッターは、心のよりどころ」。高校時代からSNSで自殺願望を発信した神奈川県の女性(26)が、取材に応じてくれた。

 睡眠薬の写真や飲んだ量を投稿すると、フォロワー(閲覧者)が四桁に膨らんだ。「一人じゃないと思えて安心できた」。今回の事件に衝撃を受けつつ、「(ツイッターの制限字数)百四十文字の枠の中でしか思っていることを言えない。そこしか私の居場所はない」と思い詰める。

 警察庁の上半期のまとめでは、SNSに起因する十八歳未満の犯罪被害は過去最多の九百十九人。容疑者と直接会った理由は「優しかった、相談にのってくれた」が26・8%に上った。

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 若者が事件などに巻き込まれるのを防ごうと、SNS運営事業者らは七月、「青少年ネット利用環境整備協議会」を設置した。LINE(ライン)やフェイスブックジャパンなど十六事業者が参加し、警察庁も支援。投稿内容のチェックや啓発活動など対策を共有するほか、人工知能などの新技術も研究する。

 「十八歳未満の犯罪被害のうち約三分の一で接点となった」(警察庁)ツイッター。その日本法人は協議会に未加入だったが、年内の加入を表明した。事件を機に、投稿での自殺などの扇動禁止を明文化し、見つかれば削除を要請する方針という。

 ただ各社に寄せられる投稿は膨大でチェックに限界がある上、「サポ」(援助交際)など隠語の横行も対策を難しくしている。

 SNSに詳しい田代光輝・慶応大特任准教授は「自殺願望のような同じ考えの人が集まると、より極端になる『集団極性化』の傾向がある。SNSには負の側面があることを若者にしっかり教えるべきだ」と指摘。長谷川博一・こころぎふ臨床心理センター長は「投稿に返事があるだけで『共感してくれた』と感じるのは、孤独の裏返し。行政と事業者が予算を投じ、当事者の話を聞いて思いを受け止めるプロの組織をつくるべきだ」と話した。

 

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