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【社会】

「無事で…」祈り届かず 座間9遺体身元判明

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 神奈川県座間市のアパートで九人の遺体が見つかった事件で十日未明、これまで分からなかった女性七人と男性一人の計八人の身元が確認された。女子高校生が三人含まれ、中には十五歳も。「生きていて」「うそであってほしい」−。家族や友人たちの祈りは届かなかった。

◆ゲーム好き「ネット友だちたくさん」 石原紅葉さん(15)

 群馬県邑楽町(おうらまち)の県立高校一年石原紅葉(くれは)さん(15)は、ゲームが好きで、会員制交流サイト(SNS)のツイッターで知り合った人と実際に会うことも楽しんでいた。二学期の始業式があった八月二十八日に神奈川県藤沢市で足取りが途絶え、両親が手製のポスターを作り行方を捜していた。

 知人らによると、石原さんは両親との三人暮らし。中学時代は演劇部に所属。絵も得意で、卒業後の今年四月、県立高校の美術コースに進んだ。同じクラスの女子生徒は「石こう像の絵を描く授業で、石原さんの絵は上手だった」と話す。

 ホラーやロールプレイングのゲームが好きで、自分で描いたキャラクターをノートに描いて友人に見せることも。別の同級生の女子生徒は「ネット(ツイッター)の友だちがたくさんいたらしい。春ごろに、東京に行って実際に会ったと、うれしそうに話していた」と振り返る。

 ツイッターでは、夏休みに入ってからもユーモアを交えて、宿題や趣味に取り組む様子をつづった。

 「夏休みの作文って物語みたいにしていいんだよね? つまり…短編ホラーにしてもいいわけだ」(八月二日)「ホラー特番見たあとに犬の散歩1人で行きたくなああああい!!!!」(同六日)

 二学期の始業式があった同二十八日朝には、何らかの事情で欠席することをツイッターに投稿している。「休むんだったらなんであんな必死に課題やったのワイ(私)」

 そしてその日の夜、神奈川県藤沢市の片瀬江ノ島駅改札を出たのを最後に行方が分からなくなった。「探してます!」。両親は写真や当時の服装を描いたイラストを入れたポスターを作り、必死に手掛かりを追っていた。九日付で家族は「深い悲しみに包まれている」とのコメントを出した。 (藤川大樹、山田祐一郎)

◆アニメ文化東京にあこがれ 須田あかりさん(17)

 福島市の県立高校三年、須田あかりさん(17)は、事件があった座間市のアパートから約三百キロも離れたところに住んでいた。

 三人兄妹の末っ子。絵が好きで中学では美術部に入部。高校に進むとインターネットで交流を深めるようになった。昨年末には家出して、ネットで知り合った東京の女子大生宅で数日間暮らすことも。父親(62)は「アニメ文化が盛んな東京に憧れていた」と話した。

 両親が今年四月に離婚。母親と暮らすようになった。大学進学の資金をためるため飲食店でアルバイトをしていた。だが「学校はつまらない」と友人に漏らし、高校を休む日が多くなった。そして九月下旬ごろ、行方不明となった。母親は九日付で「娘がこのような事件に巻き込まれた事が未(いま)だに信ずる事が出来ません。出来るだけ静かに見送ってやりたい」とコメントを出した。 (山田雄之)

◆丁寧で優しい合唱部の先輩 久保夏海さん(17)

 さいたま市北区の埼玉県立高校二年、久保夏海(なつみ)さん(17)は「優しい性格」で知られていた。

 友人らによると、久保さんは両親と弟との四人暮らし。地元の小学校を卒業後、中学校時代は合唱部で活躍した。

 部活の二年後輩で、中学三年の女子生徒(15)は「発声について、丁寧にアドバイスしてくれる優しい先輩だった」と言う。

 小中学校の同級生だった高校二年の女子生徒(17)によると、久保さんはアニメが好き。しかし、高校での生活については「人間関係に悩んでいた。部活も途中で辞めたと聞いた」という。

 ツイッターに熱心で、つながったフォロワー(読者)は二百五十人以上になった。だが九月二十九日を最後に更新は途絶え、知人らが安否を心配していた。 (柏崎智子、西川正志、牧野新、山田祐一郎)

◆母・兄と3人で支え合い 三浦瑞季さん(21) 

 神奈川県厚木市の会社員、三浦瑞季さん(21)は、母、兄との三人暮らし。中学卒業後からスーパーでのレジ打ちのアルバイトを長く続けていた。

 娘が一緒にバイト先で働いていたという四十代の女性は「母子家庭ということもあり、『お父さんがいていいな』『お父さんを大事にしてね』と言っていた。本当に良い子だった」と心配そうに話していた。 (井上靖史、石井紀代美)

◆福祉で働くバンドマン 西中匠吾さん(20)

 神奈川県横須賀市の西中匠吾(しょうご)さん(20)は市内の障害者施設で働きながら、ロック系バンドの一員としてベースを担当していた。仲間からは「マック」の愛称で呼ばれていた。

 両親と妹、弟との五人暮らし。県立高校の福祉科を卒業し、友人らは「優しく、礼儀正しい」と口をそろえる。行方不明後、バンド仲間らがツイッターで情報を求めていた。 (加藤豊大、福田真悟)

◆絵が好きな文学部生 更科日菜子さん(19)

 埼玉県所沢市の大学二年更科日菜子さん(19)は東京・渋谷にキャンパスがある実践女子大の文学部国文学科で学んでいた。

 小中学校時代の同級生らは、「控えめな性格で絵を描くのが好きだったと思う」と言う。小学校の卒業文集では六年生の持久走大会で、何度も歩こうと思ったが、保護者らの「がんばれ!」の応援を励みに完走した思い出を書いていた。 (木原育子、唐沢裕亮)

◆子どもと遊ぶ姿も 藤間仁美さん(26)

 埼玉県春日部市の藤間仁美さん(26)は、近所の住民によると、今年八月末まで夫と子どもと一緒に住んでいたが一軒家から転居した。子どもと家の中でにぎやかに遊んでいた姿もあったが、外で見かけることはあまりなかったという。

 八月末に会った知人の男性は「暗く、笑顔がなかった」と話した。九月十三日午前二時ごろまで仕事をしていたが、翌日から来なくなったという。 (西川正志、牧野新)

◆4月からバイト始める 丸山一美さん(25)

 横浜市都筑区のコンビニアルバイト店員丸山一美(かずみ)さん(25)は、高校卒業後に七年間自宅に引きこもっていたが、今年四月からバイトを始めていた。

 母親の弘美さん(56)によると、丸山さんは両親と兄の四人暮らし。中学時代にいじめを受け、不登校になっていた。弘美さんは七日の本紙の取材に「今でも、ひょっこり帰ってくるのではないかと思う」と目を潤ませて話していた。 (加藤豊大、川田篤志)

 

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