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【社会】

家賃16倍 仲見世ピンチ 浅草寺「近隣の相場」 商店街「廃業相次ぐ」

多くの観光客でにぎわう仲見世商店街=東京都台東区で(川田篤志撮影)

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 東京を代表する観光名所・浅草寺(東京都台東区)が門前の仲見世商店街に来年一月から家賃を十六倍にする案を提示し、騒動となっている。寺側は「近隣相場に合わせた」と理解を求めるが、商店街側は「値上げに耐えられず廃業する店が出たら、街の風情が失われる」と訴え、協議が続いている。 (川田篤志)

 雷門をくぐり、境内へと続く二百五十メートルの参道沿いに立つ長屋が仲見世商店街。約九十店が軒を連ね、雷おこしや草履、江戸木箸など、伝統的な土産を売る店が多い。

 「半数以上の店が百年以上の歴史がある。廃業が相次いだら浅草が浅草でなくなってしまう」。仲見世商店街振興組合の森田一郎理事は表情を曇らせる。

 組合によると「家賃十六倍」は、九月に寺から商店街に伝えられた。十平方メートル当たり月額一万五千円を、来年一月から二十五万円にするという内容だ。

 東京都が七月、所有していた商店街の長屋の建物を浅草寺に約二千万円で売却したのが、騒動のきっかけ。仲見世商店街の土地は寺のものだが、建物を所有していたのは都で、各店は家賃を都に払っていた。

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 理由は明治政府の寺社領没収にさかのぼる。国有地になった参道を管理することになった現在の都が、商店街の原型となる建物を建てた。その後、土地は寺に返却されたが、都は建物を持ち続け、土地を無償で借り受ける状態が続いていた。賃料が安い背景の一つとみられる。

 浅草寺の担当者は、建物を買い取った理由について「非課税になっていた土地の固定資産税の算定に見直しの動きがあったため」と説明。建物の所有者になり、維持管理費がかかることから「家賃を据え置くことは厳しい」と言う。

 建物売却時の協議で都は、寺側に参道の景観維持を図るよう条件を付けた。寺の担当者は「歴史的景観は大切にする。今後も仲見世とともに発展していきたい」、森田さんは「組合として意見の一本化を図り、今月中には寺側と話し合いたい」と見据える。

 小池百合子知事は十日の定例記者会見で「ある種、大変格安のところで営業してこられたと思う。当事者間でしっかり議論いただきたい。東京の目玉でもあるので、うまく話がつけばと期待している」と述べた。

<仲見世商店街> 起源は1700年前後で日本最古の商店街の一つとされる。台東区によると、浅草寺を含む浅草エリアの昨年の観光客は年間延べ3230万人と推計され、前回調査時の2014年より、延べ180万人増加。このうち外国人観光客は、174万人増の500万人と大幅に増えた。

 

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