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【社会】

中野の老人ホーム 入所者殺害容疑で男逮捕 元介護職員、布団汚され腹立て

入所者の男性を殺害した容疑で元介護職員が逮捕された老人ホーム=14日午前、東京都中野区で

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 東京都中野区の有料老人ホームで八月、入所していた男性が浴室で死亡し、警視庁は十四日、殺人の疑いで、当時宿直で勤務していた元介護職員の皆川久容疑者(25)=杉並区方南二=を逮捕した。

 逮捕容疑では八月二十二日午前四時四十分ごろ、勤務先の中野区白鷺一、介護付き有料老人ホーム「ニチイホーム鷺ノ宮」の一階浴室で、居住者の藤沢皖(かん)さん(83)の鼻や口を、浴槽に張った湯につけるなどして窒息させ、殺害したとされる。

 捜査一課によると、藤沢さんが前夜から未明にかけて繰り返し布団を汚したことに腹を立てたといい、「間違いない」と容疑を認めている。藤沢さんを浴室に連れていき、浴槽に投げ入れて湯をためた結果、藤沢さんは鼻までつかったという。一課は日常的な暴力行為はなかったとみている。

 司法解剖の結果、死因は溺死で、首を絞められた痕跡もあった。皆川容疑者は任意の調べでは、他の入所者からのナースコールが三回鳴り、二十分間ほど対応に当たり、浴室に戻ったらおぼれていたと説明していた。だが、ナースコールの履歴が残っていないなどの矛盾点があり、追及したところ、事件への関与を認めたという。

 施設は事件当時、夜間の宿直態勢で、二人の職員がいた。皆川容疑者は藤沢さんが入居していた三階と一階を、別の男性介護士が二階をそれぞれ担当していた。

 皆川容疑者は介護経験が三年半あり、同施設には一年二カ月間勤務。事件の約一カ月後の九月下旬に辞めていた。

◆帰国子女受け入れに尽力

 殺害された藤沢皖さんと二十年来の知人という千葉県野田市中野台の無職林信道さん(74)は「温厚で謙虚な方。事故で亡くなったと聞いていたのに…」と声を落とした。

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 林さんは藤沢さんと同じクリスチャンで、教会の活動で知り合った。パーキンソン病を患って体が不自由な藤沢さんを見舞うため、二、三カ月に一度、現場の施設を訪ねていた。六月が最後になり「人柄が尊敬できる方だったので、残念でならない」と悔やんだ。

 国際基督教大(東京都三鷹市)の一期生だった藤沢さんは、語学教育に詳しく、帰国子女受け入れの先駆的な存在だったという。国際基督教大高校(小金井市)によると、一九八六〜八九年に同校の教頭を務めた。原かおり教頭は「海外から帰国した生徒の広い視野や、多様性の中で育ったという財産を伸ばそうと尽力していた」と振り返った。

 九一年四月からの七年間は、大阪国際文化中学・高校(大阪府箕面市、現・関西学院千里国際中・高等部)の初代校長を務めた。インターナショナルスクールを併設する同校で「地球市民を育てる」を目標に、入学式では国連旗や万国旗を掲げ、国際的な視点を意識した教育を推し進めた。卒業生は外交官や起業家、ミュージシャンとなり、世界に羽ばたいた。

 引退後は千葉県流山市に移り、日本キリスト教団野田教会で役員を歴任した。亀井周二牧師(68)は「いつもにこやかで、穏やかな人。横にいるだけで落ち着ける方で、誰からも好かれていた。あの皖さんが、どうして…」とショックを隠せない様子だった。 (唐沢裕亮、谷岡聖史、福岡範行)

 

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