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【社会】

沖縄女性殺害 初公判 元米軍属、殺意を否認 強姦致死は認める

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 沖縄県うるま市で昨年四月、女性会社員=当時(20)=を暴行し殺害したとして、殺人罪などに問われた元米海兵隊員で軍属だったケネス・シンザト被告(33)は十六日、那覇地裁(柴田寿宏裁判長)の裁判員裁判初公判で「殺すつもりはなかった」と述べ、殺人罪の起訴内容を否認した。強姦(ごうかん)致死と死体遺棄の罪は認めた。

 米軍関係者による凶悪犯罪が度重なる中、今回の事件に沖縄の怒りと反基地感情が噴出。日米地位協定の見直し議論が再燃し、両政府は今年一月、軍属の範囲を縮小する補足協定を結んだ。市民から選ばれた裁判員が量刑などをどのように判断するか注目される。

 起訴状によると、被告は昨年四月二十八日午後十時ごろ、うるま市の路上で女性会社員を乱暴目的で襲い、頭を背後から棒で殴打。ナイフで首付近を刺すなどして抵抗できない状態にしたが、目的を遂げられず、一連の暴行で殺害したとしている。

 検察側は冒頭陳述で、シンザト被告は基地での勤務後、乱暴目的で車を走らせ、ウオーキングしていた女性を見つけて周囲に人がいない場所で背後から襲ったと状況を説明。女性の首を数回刺していることから「殺意はあった」と指摘した。

 遺体を運ぶためにスーツケースを用意し、犯行後はホテルで服を着替えており、計画的な犯行だったとした。

 一方、弁護側は「暴行の際に刺してはいない。首を絞めたが殺すつもりはなく、女性が地面に頭を打ち付けて死亡した可能性がある」と主張した。

 裁判は十七日に被告人質問を実施し、二十四日の第三回公判で検察側が論告求刑、弁護側が最終弁論して結審。被害女性の父親の意見陳述も予定されている。判決は十二月一日。

◆被害者の父 状況説明に涙

 米軍基地が集中する沖縄で、県民に衝撃を与えた女性暴行殺害事件の裁判員裁判が十六日、始まった。事件から一年半が経過し、初めて公の場に姿を見せたケネス・シンザト被告は落ち着いた様子で入廷し、裁判長から認否を問われると「気絶させて乱暴した後、解放するつもりだった」と淡々と殺意を否定。法廷には遺族のおえつが漏れた。

 シンザト被告は白いTシャツと長ズボン姿で入廷。弁護士の席に並んで座り、右肘を机について通訳の言葉にじっと耳を澄ました。時折傍聴席にも目を向け、検察官が起訴状を読み上げると、眉間にしわを寄せた。

 被害者参加制度を利用した被害女性の父親は、喪服に使われる黒色の「かりゆし」を着て審理に参加。法廷に入るシンザト被告の表情をじっと見つめ、検察官が殺害状況を説明すると、涙を何度もぬぐった。傍聴した遺族の女性は震える手に持ったハンカチで顔を覆い、むせび泣いた。

 被告は、事件当時、米軍嘉手納基地内のインターネット関連会社に勤め、県内の女性と結婚して幼い子もいたが、事件後に離婚した。日本語はほとんど話せず、法廷でのやりとりも通訳を介した。

 那覇地裁には朝から傍聴席の抽選に四百九十八人が集まり、与那原町の泰真実(まこと)さん(52)は「被告の姿や声を心に刻み、事件を忘れないようにしたくて来た」と話した。

 

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