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【社会】

喫煙可 150平方メートル以下 飲食店、大幅に後退 厚労省新案

 厚生労働省が受動喫煙防止策として、店舗面積百五十平方メートル以下の飲食店での喫煙を認める新たな案を自民党と調整していることが十六日、分かった。二〇二〇年東京五輪・パラリンピックまでの全面施行に向け、来年の通常国会に健康増進法の改正案提出を目指す。

 昨年厚労省が示した当初案の「三十平方メートル以下」から大幅に後退する内容。医師会や患者団体に加え、自民党内にもより厳しい防止策を求める声があり、激しい反発が起きそうだ。

 新たな案は、飲食店内は原則禁煙だが、店舗面積百五十平方メートル以下は喫煙可とできる。ただ新規開業や大手チェーンの店舗では喫煙を認めず、既存店舗の営業影響を考慮した臨時措置と位置付けている。見直し時期は設けていない。

 厚労省は来春にも法を成立させて、啓発活動などすぐにできるものは夏から実施していきたい考え。百五十平方メートルよりも広い飲食店の場合、原則禁煙とするが、喫煙専用室を設置すれば喫煙を認める。専用室の工事期間として一年半程度の周知期間を設け、二〇年四月からの施行を検討している。医療施設や小中高校は敷地内禁煙とし、一年程度の周知期間を見込んでいる。

 受動喫煙防止策を巡っては、今年三月、原則屋内禁煙にこだわった塩崎恭久前厚労相が三十平方メートル以下のバーやスナックなどに限り例外的に喫煙可とする厚労省案を提示。しかし自民党がこれに反発して百五十平方メートル以下に緩めた対案を示し、協議は決裂した経緯がある。八月に加藤勝信厚生労働相が着任し、調整を続けている。

◆すべてを禁煙に

<日本禁煙科学会理事長の高橋裕子京都大特任教授の話> 百五十平方メートルでは家族連れが訪れる店が含まれ、子どもにまで影響が及ぶ。従業員の受動喫煙も店の大小に関係ない問題だ。喫煙できる店とできない店で収益に差が出る不安があるなら、すべて禁煙にするのが本来の姿だ。厚生労働省が自民党の理解を得て健康増進法を改正するために妥協したのかもしれないが、言語道断だ。喫煙を認めるのが臨時措置だとしても、終了のめどを示さなければいつまでも残る恐れがある。

◆首都圏 より厳しい自治体も

 首都圏では、受動喫煙防止に向け、厚生労働省の案よりも厳しい対策を進める自治体もある。

 東京都は九月、飲食店など多数の人が利用する施設を原則屋内禁煙とする罰則付きの受動喫煙防止条例の素案を公表。例外は面積三十平方メートル以下のバーやスナックなどだが、さらに従業員を使用しない店か、全従業員が喫煙に同意して未成年者を立ち入らせない店という条件を付けている。

 都民からの意見を公募し、現在集計作業中。来年二〜三月に開かれる都議会定例会に条例案を提出する方針だ。

 神奈川県では二〇一〇年、学校や病院、飲食店などに禁煙または完全分煙を義務付け、違反した場合は罰則を科す全国初の受動喫煙防止条例が施行された。

 ただ、調理場を除いて面積百平方メートル以下の飲食店などは例外になっている。

<受動喫煙> たばこの煙にはニコチンなどの有害物質が含まれている。他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙でも健康被害が起きることが分かっており、国立がん研究センターの推計では、肺がんや脳卒中などにより国内で毎年1万5000人が死亡している。学校や事業所、飲食店といった公共の場所での屋内喫煙を法律で禁止する国は約50カ国に上り、厳しい規制のない日本の遅れが目立つ。

 

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