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【社会】

両陛下 島々に心寄せ 屋久島訪問

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 天皇、皇后両陛下は十六日、鹿児島県の屋久島を特別機で訪問された。屋久島の西にあり、二〇一五年の噴火で全住民が島外避難を一時強いられた口永良部(くちのえらぶ)島の住民と懇談し、「大変だったでしょう」とねぎらった。奄美群島の沖永良部(おきのえらぶ)島と与論島も訪れ、十八日に帰京する。 (小松田健一)

 天皇陛下は昨年八月、退位意向をにじませたビデオメッセージで「遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました」と述べた。今回の訪問も両陛下が強く希望し、その思いを表す旅となる。

 懇談には住民を代表して五人が出席。幼い娘二人と避難したという寺田仁奈(にな)さん(36)が「長女が島へ帰りたがりました」と話すと、皇后さまは「帰れた時はうれしかったでしょう。良かった」と応じた。陛下は、避難生活で体調を崩した住民がいないかと気遣った。

 口永良部島は屋久島から西に約十二キロ離れ、一五年五月に新岳が噴火。県によると、避難指示は既に解除され、住民の約八割が帰島して復興を進めている。

 両陛下は懇談後、特別機で宿泊先の沖永良部島に移動した。

 宮内庁によると、両陛下は皇太子ご夫妻時代を含め、これまでに二十一都道県の五十一の島を訪れている。沖永良部島と与論島は一二年二月にも計画されたが、天皇陛下が心臓バイパス手術を受けるなど体調不良で見送られた。その後、両陛下は新岳の噴火を案じ、住民との懇談を希望。併せて奄美群島も訪問することにした。

 宮内庁幹部は、天皇陛下の島への思いを「さまざまな環境の場所での人々の暮らしぶりを知り、その気持ちに寄り添いたいということだろう」と推し量った。

◆「優しい言葉 一生の思い出」

 「こんな小さな島のことを心にかけていただき、ありがたい気持ちでいっぱいです」。屋久島で両陛下と懇談した口永良部島の住民代表らは、感謝の言葉を口にした。

 地元の消防団副団長を務める貴船森(きぶねもり)さん(45)は、住民の避難誘導を指揮した。噴火当時、経営する民宿の駐車場で草刈りをしていると、「ドーン」という音とともに土石流が二百メートル先まで迫り、「生きた心地がしなかった」。妻(44)と四人の子どもとは避難所で無事に合流した。懇談では、一時帰島したときの様子や気持ちを陛下に伝えた。「『大変でしたね』という言葉をいただき、心が落ち着いた。励みになりました」

 畜産業の山田ヨリ子さん(74)は、五頭いた牛が噴火被害で三頭に。「皇后さまから優しい言葉をかけていただき、一生の思い出です」と感慨深げだった。

 この日は午前中に、口永良部島の小中学生十一人を含む五十六人がフェリーで屋久島の宮之浦港に到着。屋久島町総合センターの玄関前で「噴火お見舞いありがとうございます」「噴火に負けず頑張っています」と横断幕を掲げ、両陛下を歓迎した。

 子どもたちは両陛下から「避難生活はどうでしたか」などと声を掛けられ、笑顔で答えていた。金岳(かねがだけ)中三年の山口芽衣さん(14)は「二年前の噴火をよく覚えていてくださり、すごくうれしかった」と話した。 (吉原康和)

 

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