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【社会】

米基地の環境調査中止 環境省、公表せず経緯も不明

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 全国の在日米軍基地内で環境省が一九七八年度から毎年行っていた環境汚染調査が、二〇一四年度以降中止されていることが分かった。環境省は中止を公表せず、本紙の取材に米側からの要請の有無も明らかにしていない。同省は「基地の外で周辺を調べた方が広範な影響を把握できると判断した」と説明するが、専門家や自治体は疑問視している。 (辻渕智之、原昌志)

 沖縄の環境調査団体「IPP」の河村雅美代表が沖縄県に情報公開請求し、六月に開示された関連資料から判明した。

 調査は水質と大気・ばい煙を対象に、各基地・施設で毎年か数年に一度、汚水処理施設や排水口から採水し、ボイラーや焼却炉の排出ガスなどを採っていた。一部の基地を除き年一、二回定期的に立ち入りができる唯一の機会だった。

 一一、一二年度には沖縄の施設内の排水から基準値超の大腸菌群数を計測し、米軍側が原因を調べ、下水処理の塩素投入装置の不具合が改善された。しかし環境省は一四年度から、基地外で川の水や大気を採取する調査に変更した。

 基地の環境を巡っては、一五年に日米地位協定の「環境補足協定」が締結され、環境に影響を及ぼす事故などが起きた場合、日本政府や自治体は立ち入りや水、土壌、大気の採取を申請できる。

 ただ、この協定には米側の受け入れ義務は明記されておらず、米軍専用施設の約70%を抱える沖縄県は「(環境省の調査中止で)基地内の状況を定期的に把握できなくなった。基地の中だけで有害物質がたまる場合も想定される」として、環境省に調査再開を求めている。

 小泉昭夫京大教授(環境衛生学)は「基地内で調査した方が汚染の確認や汚染源の特定に有効で、対策も打てる」と指摘。在日米軍司令部は本紙の取材に「施設内のサンプル採取は環境補足協定で規定している」とするのみで、調査中止の理由や要請の有無は答えなかった。

◆相模原・座間 実施の自治体も

 米軍基地の環境調査は、環境省とは別に、基地のある自治体が米軍の許可を得て個別に行っているケースもある。神奈川県内では相模原市と座間市が年一回、相模総合補給廠(しょう)やキャンプ座間などに立ち入り、独自の水質調査をしている。米海軍佐世保基地がある長崎県佐世保市は、基地の水域で測定器を置いて水質を常時監視している。

 環境汚染の調査とは異なるが、米原子力潜水艦や原子力空母が寄港する神奈川県横須賀市では、国が放射線監視装置(モニタリングポスト)を設置。海上保安庁の船も、原子力潜水艦の入出港時に海水を採取して検査している。

 環境省の定期調査は、首都圏の米軍基地・施設内では近年は、二〇一二年度に横須賀基地、横浜ノースドック、相模総合補給廠、池子住宅地区(いずれも神奈川)で実施。一三年度も横須賀、厚木基地(神奈川)で行われた。

 基地の外の周辺調査だけとなった一四、一五年度は横田基地(東京都福生市など)と厚木、キャンプ座間、相模総合補給廠の周辺の川で採水し、水質を調べた。環境省はどの地点も問題はなかったとしている。

 

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