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【社会】

豊洲開場日 小池流が足かせ 合意寸前で2つの壁

開場日の決定が遅れている豊洲新市場。点線内の空き地が観光施設の予定地=東京都江東区で、本社ヘリ「おおづる」から

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 東京都の豊洲市場(江東区)は、来年十月十一日に開場へ−。築地市場(中央区)の業界団体と都は今月中旬、そんな合意の一歩手前まできたが、一転して足踏み状態となっている。小池百合子知事が打ち出した再開発計画や入札契約制度改革が足かせに。国政政党「希望の党」の代表を辞し、「都政に専念する」と宣言した知事の手腕が早速、問われている。 (内田淳二、木原育子)

 真新しい施設が並ぶ豊洲市場の一角に、がらんとした空き地がある。ホテルや温泉、飲食店が入る観光施設の予定地だ。事業者の万葉倶楽部(くらぶ)(神奈川県小田原市)の担当者は「建設か撤退か、まだ判断がつかない」とこぼす。

 観光施設は、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの一年前に全面開業する予定だった。ところが、小池知事が移転を延期した上、今年六月には築地跡地を「食のテーマパーク」として再開発すると発表。

 同社は、似た施設が近くにできれば採算が取れなくなると懸念し、都に説明を求める質問状を八月に送った。今月十五日にやっと届いた回答は「整合を図る」とあるだけだったという。

 というのも、都は再開発の方針を来年五月ごろにまとめる予定で、将来像はまだ白紙の状態。同社の担当者は「来春まで待てるかどうか。現時点でも東京大会までの開業はもう無理」と窮状を明かす。

 こうした都の姿勢に不満を表明したのが、江東区の山崎孝明区長だ。観光施設の建設は、区が市場受け入れの条件にしてきた。

 今月六日には「(観光施設の)整備が確定しない限り、市場の受け入れを再考せざるを得ない」とコメントを発表。その後も「(移転の)拒否ではない」としつつ「早く見通しを」と都に注文した。

 区の意向を、市場業界も重くみた。今月十日、都との協議で豊洲市場の開場日を「来年十月十一日」と決める予定だったが、業界側は区との調整を求めて決定を先送りに。築地市場協会の泉未紀夫副会長は、小池知事に対し「ご自身が解決に動いてほしい。都政に専念するということはそういうこと」と訴える。

◆入札改革 土壌汚染対策、不調相次ぐ

 懸念はほかにもある。移転の前提となる土壌汚染の追加対策工事の入札は、計九件のうち七件が、予定価格超えなどで不調や中止に。工事単価の上昇や、特殊な工事で大手企業しか応札しにくい背景があるが、都の入札契約制度改革も要因になっている。

 小池知事は六月から、落札額の高止まりを防ぐため、予定価格の入札後公表や「一者以下の入札は中止」との制度改革を試行していた。だが、豊洲での不調を受け、今月二十日には初回の入札より四割引き上げた予定価格の事前公表に踏み切った。一者以下だったことによる入札中止も相次ぎ、都の担当者は「新たに手を挙げる業者を期待して再入札したが、状況は変わらない」と困惑する。

 都は年内に工事契約を結び、来夏までに工事を終える方針だが、来年十月の移転を目指す日程に、余裕はなくなりつつある。

◆築地市場の土壌にヒ素 基準超え8カ所

 東京都は二十二日、築地市場(中央区)で九〜十一月に土壌の詳細調査を実施し、二十六カ所のうち八カ所で採取した土や地下水から土壌汚染対策法の基準値を超える有害物質のヒ素が検出されたと発表した。担当者は「敷地はアスファルトなどで覆われており、安全性に問題はない」と説明している。

 都によると敷地内二十六カ所でボーリング調査などを実施し、六カ所の土から基準値の最大四・八倍、四カ所の地下水から基準値の最大一・三倍のヒ素をそれぞれ検出した。二カ所で重複があった。

 

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