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【社会】

原電、東海第二の延長申請 40年超原発、首都圏不安

運転期間延長を申請した東海第二原発(左)=茨城県東海村で、本社ヘリ「おおづる」から

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 首都圏で唯一の原発で、来年十一月で四十年の運転期限を迎える東海第二原発(茨城県東海村)について、運営する日本原子力発電(原電)は二十四日、原子力規制委員会に最長二十年の運転延長を求める申請書を提出した。東海第二は事故を起こした東京電力福島第一の原子炉と同じ「沸騰水型」で、同型の延長申請は初。申請は全国で四基目で、東日本では初となる。

 原電の石坂善弘常務執行役員がこの日、規制委を訪れ申請書類を手渡した。石坂氏は報道陣に「今回の申請はあくまで審査の一環。再稼働や廃炉の判断とは直接関係ない」と話した。防潮堤の建設など約千八百億円をかけて、二〇二一年三月までに対策工事を終えた上で、再稼働を目指す。

 東海第二が再稼働するためには、規制委が運転延長を認めるほかにも、新規制基準に基づいた審査で「適合」と判断される必要がある。規制委はこれまでに想定される津波の高さなど、新基準に適合するかどうかの審査をほぼ終えており、年明けにも「適合」の判断が示される見通し。

 原電は運転延長の申請のため、原子炉などの劣化状況を調べる点検を十月末までに終えていた。今月二十八日が期限だった。原発の運転期間を巡っては、福島第一の事故を受け、原子炉等規制法で原則四十年に制限された。ただし規制委が認めれば、一回に限り、最長二十年の運転延長が可能となる。これまでに、福井県の関西電力高浜1、2号機と美浜3号機の二原発三基が延長申請され、規制委は、いずれも認めている。

 ただ、東海第二原発の三十キロ圏には約九十六万人が生活し、十四市町村が避難計画を作ることになっているが、いまだにまとまっていない。また、原電は再稼働する際、立地する県と村のほか、三十キロ圏の水戸や日立など五市の同意を取ると表明しており、ハードルがある。原電の村松衛(まもる)社長は二十一日、茨城県の大井川和彦知事と面会し、二十四日に延長申請する方針を伝達していた。

◆30キロ圏96万人どう避難

<解説> 東海第二の運転延長が申請されたことで、再稼働にまた一歩近づいた。だが、原発三十キロ圏には全国最多の約九十六万人が生活し、大事故が起きた時に、無事に逃げ切れるのかという問題を残したままだ。住民の不安を拭うことが、最も大切になる。

 福島の事故では、放射性物質が広範囲に飛び散り、避難も大混乱した。その反省から、避難計画の策定対象が、原発三十キロ圏の市町村に、法で義務付けられた。

 どの原発でも、避難計画が「机上」にとどまり、実際の事故で使えるのかが問われている。

 茨城県が二〇一五年に作った案では、三十キロ圏の住民は、県内のほか、栃木、千葉、福島など周辺五県に避難する。だが、原発事故と、地震や津波が同時に起きる複合災害や、避難先が同時に被災するケースなどを想定していない。

 自治体による避難の説明会では、住民から「高齢者や障害者が一人で逃げられない」「長期避難の生活が心配だ」と不安が漏れた。

 避難計画は再稼働にかかわらず、原発がある限り必要で、今も住民は危険にさらされている。そもそも、百万人近い人を想定した避難計画を作るのは、無理ではないかとの疑問がある。

 原電は再稼働前に立地する県や東海村のほか、水戸など五市も新たに同意を取る方針を示した。自治体側が、再稼働の是非を判断することになる。住民の安全を確保する最善の選択は何か。自治体側にボールは預けられた。 (山下葉月)

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