東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 11月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

熊本 32年前の松橋事件 福岡高裁も再審決定

写真

 熊本県松橋(まつばせ)町(現宇城市)で一九八五年、当時五十九歳の男性が刺殺された松橋事件の再審請求即時抗告審で、福岡高裁は二十九日、昨年六月の熊本地裁に続き、殺人罪で服役した宮田浩喜(こうき)さん(84)の再審開始を認める決定をした。弁護団が提出した新証拠によって「自白の信用性が大きく揺らぎ、犯人ではないという合理的疑いが生じた」と判断し、検察側の即時抗告を棄却した。

 「自白」が唯一の直接証拠だったが、宮田さんは一審公判途中から「虚偽だった」として全面否認に転じた。八六年の一審熊本地裁判決は懲役十三年とし、最高裁で九〇年に確定した。

 高裁の山口雅高裁判長は決定で、熊本地裁と同様、宮田さんが「凶器の小刀に巻いて犯行後に燃やした」と説明したシャツ片が現存した点を重視し「凶器に関する自白は事実に反する疑いがある」と指摘した。

 さらに弁護団が提出した鑑定書に基づき、「遺体の傷と小刀の形状は相当矛盾している」と述べた。

 宮田さんの自白には変遷があり、決定は「取り調べで捜査官に迎合した可能性がある」とも指摘し、捜査段階の自白全体の信用性を否定した。

 検察側は「巻いたのは別の布で、傷の不一致は誤差の範囲内だ」と反論していた。

 事件では八五年一月、岡村又雄さんの遺体が岡村さん宅で見つかり、将棋仲間の宮田さんが逮捕された。宮田さんは九九年に仮出所し、認知症のため、現在は熊本市の介護施設で生活している。

<松橋事件> 1985年1月8日、熊本県松橋町(現宇城市)の民家で、男性=当時(59)=が顔や首を刺されて死亡しているのが見つかった。県警は将棋仲間だった宮田浩喜さんを参考人として任意での事情聴取を続け、殺害を認めたため1月20日に逮捕した。確定判決によると、1月5日夜に男性宅で口論となり、いったん帰宅して小刀を持ち出し、6日未明に殺害したとされる。宮田さんは99年に仮出所。認知症のため、成年後見人の弁護士が2012年に再審請求した。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報