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【社会】

横綱日馬富士が引退 「やむなし」「真相は?」 協会関係者、冷静な対応

貴ノ岩への暴行事件で鳥取県警の事情聴取を終え、両国国技館を出る横綱日馬富士=17日、東京都墨田区で

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 大相撲で闘志あふれる取り口で人気を博した横綱・日馬富士が二十九日、暴行問題の責任を取る形で引退を決めた。角界関係者からは信頼回復を誓う言葉や陳謝の声が聞かれる一方、ファンからは「辞めるのは当たり前」「しっかり説明を」など厳しい意見も。出身地のモンゴルにも衝撃が走った。

 日馬富士の引退に、日本相撲協会関係者は驚きつつも冷静に受け止めていた。

 この日午前、審判部の親方による来年の初場所(一月十四日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議が福岡市内で行われた。出席した親方によると、「日馬富士が引退します」と報告があったという。日馬富士の師匠で九州場所では審判部長代理を務めていた伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「すみませんでした」と謝罪。番付編成作業は粛々と進められたという。

 対戦経験もある中堅親方は「びっくりしたというか、責任を取るならそれしかない。その意味では、驚くことでもない」と語った。日馬富士自身が慕っていた朝青龍に続いて、同じように不祥事で引退に追い込まれ、相撲人気にも水を差す事態。この親方は「これから、力士一人一人が心を改めて、信頼回復のために土俵で(いい相撲を)見せるしかない」と力を込めた。

 協会理事を経験したベテラン親方は「落ち着くところに落ち着いた。しょうがないよね」と語り、引退もやむなしとの見方を示した。協会が三十日に予定する定例の理事会でこの問題が議題に上がるのは間違いなく、「処分の話もあるだろうから、その前のいいタイミングで身を引いたのではないか」と話した。

 一方でこの親方は、伊勢ケ浜親方と、暴行された平幕貴ノ岩の師匠で不可解な行動を取っている貴乃花親方(元横綱)の責任を指摘。「現在は二人とも理事だが、来年の理事選で立候補させないとか、なにか対応を取らないといけない」と語った。

◆相撲ファン 「残念」「説明不足」

 「暴行はとんでもない行為で、責任を取って引退するのは当然のこと」。東京都墨田区の両国国技館前で、近くの病院に通った帰りという江戸川区の無職笠井久仁彦さん(80)は、日馬富士について厳しい口調で語った。

 仕事で近くを通りかかったという千葉県船橋市の男性会社員(65)は、一連の問題を巡る日本相撲協会の対応について「ファンに十分な説明がなく真相がはっきりしない。世間一般の常識からかけ離れているのではないか」と批判した。

 一方、日馬富士が所属する江東区の伊勢ケ浜部屋。近くに住む研究者の榊原瑞夫さん(77)は「暴力ざたはよくない。このまま角界に残ったら角界がバッシングを受けてしまう。引退はしょうがなかった。自ら引退を表明するのは、横綱のけじめのつけ方としてはベストだったのでは」と話した。

 「他の力士に比べて体は小さくても努力家だった。初優勝したときは握手もしたし、ずっと応援してきた。地元では評判も良かった」。自営業の近藤明さん(74)はこう振り返り「手を出した方が悪いけど、まだまだ勢いがあっただけにもったいない」と声を落とした。

 入門時から日馬富士の姿を見続けているという花屋経営、安孫子政江さん(74)は「よくしゃべるし、気さくな人だった。地元の星の引退は残念でならない」と惜しんだ。 (神野光伸)

 

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