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【社会】

日馬、優しさと厳しさ ファン思い、暴力指摘も

 優しさと厳しさ。二面性のある横綱だった。暴行問題を起こし、引退する日馬富士。多くの温かいエピソードも持つ力士なだけに、今回の引退劇にはむなしさが漂う。

 土俵では細身の体ながら闘志あふれる相撲で多くの白星を重ねた。「全身全霊で頑張る」が口癖で、「命を懸けて相撲を取っている」と語ったこともあった。

 だがその闘志は、あらぬ方向にも向けられることがあった。ある親方は「稽古場でも自分勝手に怒りだす。いじめとも取れる行為を繰り返していた」と証言。稽古場で日常的に暴力を振るっていたと指摘した。

 義理堅い面や道徳心が強い面もあった。先輩をよく敬い、後輩の面倒もよく見ていた。それだけに礼を欠いた後輩の振る舞いには、強い憤りを見せていた。今回の暴行問題も、横綱白鵬に説教されていた貴ノ岩がスマートフォンを操作していたことがきっかけとされる。いかにも日馬富士が激高しそうな状況だが、その思いを他の形で伝えられなかったか。

 ファンサービスの面では現在四人いる横綱の中では、一番だった。子どもが大好きで、小さな子に抱っこをせがまれるとどんな時でもその太い腕で抱き、頭をなでてあげた。日本で使われていた救急車をモンゴルに贈ったり、玄人はだしの絵の才能を生かし、個展で売った作品の収益の一部を人道的医療活動を支援する団体に寄付したことも。

 そういう一面があった横綱が、現在の大相撲人気に水を差す行為で土俵を去るのは、角界にも大きなダメージとなり、残念でならない。 (平松功嗣)

 

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