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【社会】

医療費、政界へ8億円 日医連が最多4.9億円提供

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 医療や医薬品業界の主な十の政治団体が二〇一六年、寄付・パーティー券購入などで計約八億二千万円を国会議員や政党に提供していたことが、三十日に総務省が公開した一六年分政治資金収支報告書で分かった。最多は日本医師会(日医)の政治団体「日本医師連盟(日医連)」の約四億九千万円。国や国民などが負担する医療費の一部が、医療業界を通じて多額の献金に形を変え、政界に還流する構図となっている。(石井紀代美、松村裕子、原尚子)

◆16年政治資金報告書

 医薬系団体から国会議員の政治団体や政党支部などへの資金提供を集計した。トップの日医連が資金提供したのは多くが自民党議員。日医連の鈴木春夫事務局長は「政府・与党を中心にロビー活動を行っており、『寄付』『パーティー券』の政治活動により、国民に良質の医療が等しく提供できるよう働き掛けている」と文書で回答した。

 二番目は日本薬剤師連盟の約九千八百万円。次いで、日本歯科医師連盟(日歯連)の約五千六百万円、製薬産業政治連盟の約四千八百万円と続いた。日歯連は一四年が約二億七千万円、一五年は約一億六百万円で今回は大幅に減少した。一五年十月、前会長ら役員三人が迂回(うかい)献金をし、法定上限を超える金額を寄付したとして政治資金規正法違反罪で起訴された事件(公判中)も影響しているとみられる。

 日医連の献金先で最多だったのは昨年の参院選で初当選した医師の自見英子(はなこ)氏(比例代表)。日医連の組織内候補として約二十一万票を集めた。一件当たり百万円以上の集計で、自見氏の関連三団体に計一億五百万円が渡った。自見氏の事務所は「選挙区が広く、全国を回るなど多くの費用がかかった」と説明した。

 日医連は、東京、神奈川、大阪、兵庫の各医連から、正規の負担金を直接受けるだけでなく「医療問題懇話会」など複数の政治団体を経由させる手法で、政治資金規正法で定める年間上限額の五千万円を実質的に超えた寄付を受けていた。

自らの政治資金パーティーでマイクを握る自民党の武見敬三参院政審会長(左)。右は日本医師会の横倉義武会長=29日、東京都港区で

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◆診療報酬アップ実現へ支援 われわれは「集票マシン」

 「われわれは『集票マシン』。一生懸命、票を集めて選挙を戦っていく」

 十一月二十九日夜、東京都内のホテルで開かれた自民党参院政審会長の武見敬三氏の政治資金パーティー。壇上で日歯連の高橋英登会長が発言した。武見氏は、故・武見太郎元日医会長の息子で、医政に精通する国会議員の一人だ。会場には日医の横倉義武会長をはじめ、さまざまな医療関連団体幹部の姿があった。

 診療報酬の改定率決定が十二月に迫る中、登壇した医療関連団体の幹部らは口々に「プラス改定にしていただきたい」(東京都病院協会会長)、「診療報酬が引き下げられると、安心した医療が受けられなくなる」(都医師会会長)などと要望を述べた。

 武見氏は「本体部分はプラス改定をしっかり確保することが必要だ」と強調する一方「次の参院選では、皆さまのご支援とご協力をいただきたい」と選挙支援を依頼した。

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 診療報酬は、病院や薬局が医療行為の対価として受け取るお金で、医師の技術料にあたる「本体」と医薬品の「薬価」で構成される。政府が二年に一度改定し、改定率や改定内容は医療機関の経営に大きな影響を及ぼす。医療関連団体は献金と集票の見返りに、診療報酬や税制の要望を実現してきた。

 関西地方の医師会の幹部は「財務省や厚労省が医療費を抑制しようとする中、それを押しとどめるためには、国会議員を動かす必要がある」。過去二十年間では〇二〜〇六年度を除き、本体部分はプラス改定が続いている。

 医療ガバナンス研究所の上(かみ)昌広理事長は「診療報酬目当てで政治献金を行うことは、『点数を金で買っている』との批判を免れず、社会の信頼を損ねる。長期的な医療の発展にもマイナスだ」と指摘している。 (藤川大樹、石井紀代美)

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