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【社会】

歌舞伎町 夜間保育園 夜勤ママの支えに

歌舞伎町ゴールデン街近くで15年、保育園を運営する石澤ハルノ園長=東京都新宿区の「たいよう保育園」で

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 五千軒以上の飲食店や風俗店が集中する日本最大の歓楽街、東京・歌舞伎町。幼い子を抱えながら夜の街で働くシングルマザーを支えるのが、深夜まで開いている保育施設だ。

 ゴールデン街近くのビルの二階に入る「たいよう保育園」。この町でクラブを経営していた石澤ハルノ園長(64)が、十五年前に始めた認可外施設。石澤さんもシングルマザーとして働いた経験を持つ。「私の場合、母が子どもをみてくれたけど、親を頼れない女性たちもいる。何かできないかと思っていた」

 園の名前は「子どもたちに明るく元気に育ってほしい」との思いを込めて付けた。放課後の学童保育を含め、小学五年まで二十六人の子どもが通う。半数ほどが母子家庭だ。

 週末の深夜十時。園を訪ねると、約九十平方メートルの部屋はカーテンで仕切られ、奥で乳児から小学生まで十二人が布団で横になっていた。すやすやと寝息を立てている子もいれば、なかなか寝付けない子もいる。窓の外からは時折、酔客の笑い声が聞こえてきた。

 七年前から小学五年の長男(11)を預ける女性(31)は「本当に助かっています」としみじみと振り返る。二十歳の時、アルバイト先で知り合った年上の男性と結婚したが、夫の浮気などで三年で離婚。幼い長男を抱えながら、十分な生活費を稼げる昼間の仕事に就くのは難しかったという。

 長男が三歳の時から働き続けてきた。「三十になったら夜の仕事を辞めよう」。そう思いながら、いつの間にか三十歳を過ぎた。若い時は留学して英会話を学びたいという夢があったが、あきらめた。今の楽しみは長男の成長だ。

 「子どもと一緒に風邪をひいたときは、夫がいれば良かったと思うけど、なるべく普通の家庭のようにしたいとやってきた」。長男は最近、料理を覚え、目玉焼きやおにぎりを作ってくれる。「思いやりがある子でいてほしいから、やっぱりうれしかったですね」

 厚生労働省によると、二〇一五年の母子世帯の平均就労所得は二百十四万円で、子どもがいる全世帯の平均六百四十七万円の三分の一しかない。この女性に限らず、夜の街で働くシングルマザーは少なくないが、セーフティーネットは乏しい。

 夜間も開いている認可保育所は都内に三カ所だけ。認可外の保育施設が、夜働く母子家庭の受け皿になっている。政府は一九年度からの幼児教育・保育の無償化で、認可外も対象に加える方向で検討している。

 「そうなればすごくありがたい」。園長の石澤さんは笑顔で語り、こう続けた。「水商売などで働くシングルマザーが子どもを食べさせていくのは大変なこと。国はもっと目を配ってほしい」 (藤川大樹)

 

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