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【社会】

親子3代の味 カレー一筋半世紀 葛飾の食品会社

祖父哲郎さんが開発した「旭カレールウ」(右)、父正さんが開発した「セレクト」(中)、自ら作った「孫」を手にする渡辺正道さん=東京都葛飾区で

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 町工場が集まる東京都葛飾区で、創業70年の小さな食品会社で親子3代が作ってきたカレールウ「旭カレールウ」が評判だ。戦後復興期に祖父が考案したレシピを孫が守り続ける。業務用に販売していたが、インターネット通販などで家庭用にも売り出し、全国に展開。「海軍カレー」の伝統を継ぐ海上自衛隊横須賀基地への納入も果たした。 (飯田克志)

 「祖父が完成させ、父が継いだ味を、もっと多くの人に食べてもらえるようにしたい」

 京成押上線立石駅近く。家族経営の「ワタナベ食品」三代目、渡辺正道(ただみち)さん(38)は、二十四歳で家業に専念。その後、カレールウのネット通販に乗り出し、北海道から沖縄まで全国から注文が来るようになった。

 祖父伝来の、時間をかけて小麦を煎(い)るなどする「直火焙煎(じかびばいせん)製法」で、「濃厚だけど、胸焼けしない」のが特長だ。「もっと早く知りたかった」という声も寄せられた。

 家庭用ルウはハウス食品、エスビー食品、江崎グリコの大手三社が市場をほぼ独占する。参入は容易ではないが、地産地消をうたう区内のスーパーや八王子市の道の駅など二十店近くで取り扱われている。

 最近は食関連のイベントにも積極的に出展。二〇一一年に海自横須賀基地への納入が始まり、若者向けのスパイシーな新商品「孫」も売り出した。

 工場は自宅に併設している。祖父の哲郎さん(故人)の代から使う直径一メートルの二つの大鍋を使い、火加減を微妙に調節し、巨大なホイッパーでかき混ぜる。「出来具合はホイッパーを持つ感触で確かめる。夏だとサウナ状態で結構きつい」と笑う。

 一九四七(昭和二十二)年、配給された小麦粉を材料にする麺加工所を哲郎さんが創業したのが会社の起源。五二年にそば店を開くと、カレーライスやカレーうどんが人気を呼んだことから、カレールウの製造を思い立った。

 工夫を重ねて「旭カレールウ」を完成させ、六四年にそば店を閉めてルウに専念。二代目の父、正さん(79)はショウガなどを使い、香り豊かなルウ「セレクト」を開発した。

 「祖父は好奇心旺盛で、食事した店で気になると厨房(ちゅうぼう)まで入っていた。父は見て覚えろという職人かたぎ」と正道さん。現在、正さんは引退、母町子さん(66)とパートの女性を加えた三人で会社を切り盛りする。「手間がかかる手作りだからこそ、うちの味が出せる。口に運んだ際、小さな感動が生まれれば、幸せ」と話す。

 ◇ 

 「旭カレールウ」は四百円(三百グラム、甘口・辛口)、「セレクト」は六百円(三百グラム)、「孫」は五百円(二百グラム)。問い合わせはワタナベ食品=電03(3691)0922=へ。

 

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