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【社会】

ICAN平和賞「大きな喜び」 文学賞カズオ・イシグロ氏会見

6日、ストックホルムのスウェーデン・アカデミーで、ノーベル文学賞の授賞式を前に記者会見するカズオ・イシグロ氏=共同

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 【ストックホルム=共同】今年のノーベル文学賞に決まった長崎生まれの英国人作家カズオ・イシグロ氏(63)が六日、スウェーデンのストックホルムで記者会見し、世界には「大きな分断」があるとし、今後の創作活動を通じて修復に貢献したいと意欲を示した。母親が長崎への原爆投下で被爆したことを紹介、非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))の平和賞受賞は「核の歴史の重要性に光を当てることで、大きな喜びだ」と語った。

 世界が分断され「暗い雰囲気」に覆われていると指摘。「私たちをまとめ上げる何かが必要。その前向きな象徴になれるとしたら光栄だ」と述べた。

 文学賞の選考主体スウェーデン・アカデミーで会見した。十日のノーベル各賞の授賞式に向け、スウェーデンとノルウェーで関連行事が行われる「ノーベルウイーク」が始まった。

 イシグロ氏は終始立ったまま、約一時間、質問に答えた。ICANの受賞に関して、長崎で日本人の父母の間に生まれた自分も「原爆の影の下で育った」と述べ、核廃絶への取り組みに注目が集まることを歓迎した。

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 日本で自らの受賞が歓迎されたことについては「感動した」と強調。ノーベル賞への思いを聞かれ「人類が争うのではなく、共に在りたいという世界中の願いを象徴するものだ」と語った。

 最初の長編小説「遠い山なみの光」は、敗戦直後の長崎が舞台。六日の会見でも「私の一部は日本人」と強調し、出自を「誇りに思う」と話した。

 日本出身の作家としては一九六八年の川端康成、九四年の大江健三郎氏に次ぎ三人目で、二十三年ぶりの受賞。イシグロ氏は父の仕事の関係により五歳で渡英、八〇年代前半に英国籍を取得し英語で執筆を続けている。日本語はほとんど話せない。

 イシグロ氏は会見後、ノーベル博物館の椅子の裏に記念サインをした。

 

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