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【社会】

原電「とことん協議」 東海第二と6市村 再稼働の事前同意案全容

再稼働へ向け、周辺自治体との協議が進む東海第二原発=茨城県東海村で

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 首都圏唯一の原発で、来秋に運転期限の四十年を迎える東海第二原発(茨城県東海村)について、運営する日本原子力発電(原電)が、再稼働へ向けた同意を求める自治体に示した新協定案の全容が、関係者への取材で判明した。立地自治体である東海村だけでなく、周辺三十キロ圏の水戸など五市の同意を取る方針を示したが、新協定案には「六市村が納得するまでとことん協議する」などと明記され、再稼働に一定の歯止めがかかる。ただ、文言には曖昧な部分もあり、課題を残す。 (山下葉月、越田普之)

◆事前協議

<6市村それぞれが納得するまでとことん協議を継続する>

 新協定案は先月二十二日、原電が六市村長との協議の場で提示した。全六条からなり、その内容を解説した確認書も付いていた。案と確認書は、協議途中を理由に公表されなかった。

 今回判明した案には、六市村が新たに確保する権限として、再稼働や運転延長について事前に説明を受けることや、意見を述べたり、回答を要求すること、追加対策や現地確認を要求することなど、五項目が明記されている。

 特に、事前の協議について「六市村それぞれが納得するまでとことん協議を継続する」と記載。文字通り読めば六市村のうち、一つでも納得しなければ協議は終わらず、再稼働できないことを意味する。

 これについて、最も多い二十七万人の人口を抱える水戸市の高橋靖市長は、本紙の取材に対し「議論も話し合いの場もない方がおかしかった。イエスと言わなければ、議論は続いていくことになる」と評価した。

◆事業者の義務

<6市村が対策を要求する権限を確保し、事業者(原電)には、きちんと対応しなければならない重い義務を負わせた>

 事前協議で自治体が追加対策を要求しても、原電が正面から向き合わなければ事態は進まない。今回の案で、原電は「きちんと対応しなければならないという重い義務を負う」とされた。例えば防潮堤のかさ上げなど、新たな工事が必要になる可能性がある。

 他の電力会社では、自治体はここまで優遇されていない。九州電力玄海原発(佐賀県)の場合、三十キロ圏で再稼働に反対する伊万里市は、重要施設の変更などの際に意見を言う権限はあるが、九電は応える義務を負わない。市の担当者は「議論は平行線。計画を止められない」と振り返る。

 原電は、敦賀原発(福井県)1号機が廃炉になるなど、再稼働の期待は東海第二だけ。「義務」という重い言葉を盛り込み、自治体に譲歩を示した。

◆事前了解

<再稼動する際事前了解は規定されていないが、事前協議により実質的に担保されている>

 一方、案には曖昧な部分もある。再稼働には自治体の事前了解が必要、とはっきり書かれていない点だ。

 案では「事前了解に関する事項は規定されていないが」と前置きし、「事前協議により、実質的に担保されている」と続いている。

 関係者によると、先月の協議に出席した首長からもこの点に批判が集中した。六市村でつくる懇談会座長の山田修・東海村長は取材に「文言に曖昧な部分が残されているので、修正するよう伝えた」と話した。

 原電は来年三月までに懇談会と新協定を締結する意向を示しており、今後、文言の調整が進められる見通し。事前了解の権限が三十キロ圏の自治体にも認められれば、全国初。原電が自治体の懸念をどう解消し、新協定の締結に行き着くかが注目される。原電の広報担当者は取材に「成案に至っていないので、コメントは控えます」と話した。

 

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