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【社会】

「席譲りたい」乗客、LINEで一助 11〜15日、銀座線で実験

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 電車で席に座りたい妊婦と、譲りたい乗客を無料通信アプリ「LINE(ライン)」でつなげたい−。こんな願いで若手の社会人有志チームが発案した実験が十一〜十五日、東京メトロ銀座線で行われる。困っている人を助けたいが尻込みしてしまう人の気持ちを、最新技術で後押しする試み。メンバーらは「譲り合いの成功体験を重ねることで、ためらう気持ちが無くなればいい」と話す。 (神谷円香)

 実験は各日午前十時〜午後四時、計八本の最後尾車両で行う。席を譲る側で実験に参加したい人は、あらかじめLINEで「&HAND」(アンドハンド)というアカウントを友だち登録し、サポーターになっておく必要がある(詳細は「&HAND」のホームページ=同名で検索=で)。

 実験ではまず、協力者として登録している妊婦がLINEで「座りたい」というボタンを選択。一定の範囲内にだけ信号が届く仕組みを利用し、同じ車両にいるサポーターの乗客のLINEに「妊婦さんが近くにいます」と通知される。

 通知を受け取った乗客が「席を譲る」を選び、車両のどこに座っているかを入力すると、今度はそれが妊婦に通知される。乗客のスマホ画面には「譲ります」と表示され、近づいてきた妊婦にそれを示せば譲り合いが成立する。

 開発したのは、広告会社に勤めるタキザワケイタさん(39)や、知人で大日本印刷サービスデザイン・ラボの松尾佳菜子さん(31)ら有志十人のチーム。

 タキザワさんは昨年六月、スマートフォンを使って社会問題を解決するグーグル主催のコンテストに応募しようと考え、マタニティマークに注目した。インターネットでマークについて調べると、妊婦の間で「着けていると嫌がらせを受ける」との不安が広がっていることが分かった。タキザワさんには八年前、満員電車に妊娠中の妻と一緒に乗っていた際、マークを見て中年男性が席を譲ってくれた体験があった。「当時、妻は切迫早産の危険があり、本当にありがたかった。それまでは妻も席を譲られることがほとんどなく諦めていた。でも、思いやりを持ち席を譲りたい人は、実はもっといるのではないか」

 そんな思いから生まれた、妊婦が発した信号を周りの人が受け取るというアイデアは、コンテストでグランプリに。実用化に向け、男性や妊娠経験がない女性の計約千人にアンケートをしたところ、約八割の人が妊婦に席を譲る必要はあると思いつつ、「スマホを見ていてマークに気付かなかった」「声を掛けるのが恥ずかしかった」などの理由で席を譲らない経験があったという。

 実験に協力する東京メトロ広報部は「妊婦のアクションを受けて、お客さまがどう行動するのかをまず確認したい」と話している。

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<マタニティマーク> ハートに女性と赤ちゃんが寄り添うデザインで、厚生労働省が2006年に制定。妊婦が公共交通機関などを利用する際に身に着けることで、周囲に配慮を呼び掛ける狙いだが、インターネットなどでは「妊婦が権利を振りかざしている」(乗客側)「嫌がらせを受けた」(妊婦側)との声も聞かれる。

 

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