東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

日本海沿岸 相次ぐ漂着  船撤去費に自治体悲鳴

秋田市の海岸に漂着した木造船=13日(秋田海上保安部提供)

写真

 北朝鮮からとみられる木造船の漂着が相次ぐ日本海沿岸の市町村が、船の処分に頭を痛めている。海上保安庁や警察が捜査の必要がなくなったと判断すれば、ごみとして漂着地の自治体が費用を負担、撤去する必要があるためだ。一隻当たり数百万円かかることもあり「予算が足りない」と悲鳴が上がる。二〇一七年の漂流・漂着は既に年間最多を更新、政府は費用捻出が困難な自治体を支援する考えだ。

■北朝鮮船?

 十一月以降、六隻が流れ着いた青森県深浦町には毎冬、多くのごみが海岸に打ち上がる。町は撤去や清掃を行うため約七百四十万円を当初予算に盛り込み、ほぼ全額を環境省から県に交付される補助金で賄う。

 だが漂着船の撤去には、一隻当たり五十万円以上、重機が入れない岩場に流れ着いたものは数百万円かかると見積もられ、既に予算を大幅に上回った。町の担当者は「毎年二、三隻は来るが、今年は異常な多さ」と不安視する。

 深浦町から相談を受けた青森県は、他の市町村分の補助金を回すことを検討中だが、県の担当者は「ごみ処理などのための制度で、何隻もの船を解体するのは想定外だ」と困惑する。

■政治案件

 今月九日には、北海道松前町の無人島、松前小島に接岸した北朝鮮船の船長ら三人が発電機を盗んだとして、道警が窃盗容疑で逮捕。海保や警察は捜査上の必要があるとみなせば証拠物として保管するが、多くは自治体に引き渡す。

 木造船の乗組員とみられる身元不明の遺体も見つかっている。市町村にもよるが、安置や火葬のための費用は一人当たり十万〜二十万円。漂着が相次ぐ秋田県男鹿市では、既に約百五十万円を支払った。秋田県では十三日に三遺体、十四日にも四遺体が見つかった。

 三人の遺体を安置する山形県鶴岡市は「政治案件になり、どこが責任を持つか分からない」と戸惑う。北朝鮮から返還要請があった場合に備え、火葬後の遺骨は厳重に保管する。

写真

■危険物

 七月に漂流中の木造船がえい航され、百七十万円かけて処分した青森県外ケ浜町。海保から引き渡された翌日、船内のガスボンベが突然爆発し、作業員一人が救急搬送された。

 命に別条はなかったが、危険物を積んだ船を放置すれば再び爆発する恐れもある。迅速に処理するため補助金交付の手続きを取らず、町予算で撤去した。

 日本製でないボンベは特殊な処理が必要で、県外業者に委託、船の処分費百二十万円に加え、五十万円を出費した。担当者は「自治体での処理には限界がある」と指摘している。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報