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【社会】

「内密出産」導入検討 赤ちゃんポストの熊本・慈恵病院

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 親が育てられない赤ちゃんを匿名で預け入れる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を設置している熊本市の慈恵病院が、妊婦が匿名で出産し、生まれた子が成長した後に出自を知ることができる「内密出産制度」の導入を検討していることが分かった。

 望まない妊娠に悩む女性が自宅や車中などで孤立した状態で出産し、母子の生命が危険にさらされるのを防ぎたい考え。既にドイツで制度化されており、子どもの「出自を知る権利」の保護にもつながる。

 日本では環境整備されていないため、慈恵病院は今後、熊本市など関係機関と協議し、理解を求めたいとしている。

 病院側の構想では、女性に身元を記した封書を行政機関に預けてもらった上で、匿名での出産を受け入れる。生まれた子は特別養子縁組をした家庭などでの養育を求める。だが、戸籍法では父母らに出生の届け出義務があり、母親の匿名性を保つと、子が無戸籍状態になることが懸念される。

 慈恵病院の赤ちゃんポストは二〇〇七年に開設。約十年間で百三十人が預けられ、うち少なくとも六十二人が母子の生命の危険性を伴う「孤立出産」だった。一方、親の身元が分からない子どもが今年三月末時点で二十六人おり、子の出自を知る権利との両立をいかに図るかが議論されてきた。

 運用状況を定期的に検証している熊本市の専門部会は「内密出産制度が一つの解決策」との見解を示し、市は今年七月と十一月、厚生労働省に法整備の検討を求めていた。

◆「現行法で可能」早期実現に意欲 慈恵病院会見

 熊本市の慈恵病院は十六日、記者会見し、「内密出産制度」に関し「現行法の解釈で可能だと思う」とし、早期実現に意欲を示した。

 病院側は「われわれだけで先走ることはできず、行政や専門家と議論し、問題点の整理をしていきたい」とも述べ、関係機関に協力を求めた。

 会見で蓮田健副院長は「母子の安全を守る観点で内密出産は有効だ」と強調した。

<内密出産> ドイツで2014年に施行された妊産婦支援の制度。妊娠を周囲に知られたくない女性が相談機関に実名を明かした上で、医療機関では匿名で出産する。子は原則16歳になると、出自を知ることができる。ドイツでは以前から、「赤ちゃんポスト」の設置や、匿名のままの出産を受け入れる仕組みがあったが、子どもの「出自を知る権利」を保障するため、内密出産制度が設けられた。ドイツ政府の報告書では、赤ちゃんポストの利用件数や孤立出産が減少したとされる。

 

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