東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

鹿島と清水 捜索 リニア受注調整か 独禁法違反疑い

写真

 JR東海が発注したリニア中央新幹線工事の入札妨害事件で、東京地検特捜部は十八日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、大手ゼネコン鹿島の本社(東京)と、清水建設の本社(同)へ家宅捜索に入った。特捜部は、ほかに大成建設(同)、大林組(同)にも家宅捜索する方針で、大手ゼネコン四社への強制捜査に乗り出す。

 四社は契約済みの工事の約七割をほぼ均等に受注しており、総工費九兆円超の巨大プロジェクト全体で受注調整が行われた疑いがあるとみて調べる。特捜部は既に、避難施設「名城非常口」(名古屋市)工事の入札を巡って偽計業務妨害容疑で大林組を家宅捜索し、四社の幹部らを任意聴取している。

 関係者によると、四社の担当者は月一回程度開かれる会合で接触していた。特捜部は、大林組以外の三社も受注調整に加わり、公正な入札を妨げた可能性があるとみて、公正取引委員会と連携して入札の実態解明を進める。

 JR東海によると、二〇一五年八月〜今年十一月にかけ、二十二件の工事で契約を結び、四社が約七割の十五件を受注。各社三〜四件ずつ、ほぼ均等に工事を分け合う形になっている。

 鹿島は「南アルプストンネル長野工区」などトンネル二件、非常口一件の計三件を受注。清水建設は「品川駅北工区」と非常口一件のほか、トンネル二件の計四件を受注した。

 鹿島広報室は「捜索を受けているのは事実。引き続き捜査には全面的に協力していく」。清水建設コーポレート・コミュニケーション部は「捜査中のため詳細は控えるが、捜査には全面的に協力する」とコメントした。

 一方、名城非常口工事を巡っては、大林組がJR東海の担当者から非公開の技術情報を入手し、この情報を基に工事価格をより正確に計算して有利な提案を行ったり、他社へ受注希望を伝えたりするなどした疑いが持たれている。

◆「談合決別宣言」後も続く

 リニア中央新幹線工事を巡り、工事全体で受注調整をしていた疑いが強まったとして独禁法違反容疑で大手ゼネコンへの捜索が始まった。三兆円の財政投融資を活用した九兆円を超える巨大プロジェクトを大手ゼネコンが分け合う構図に司法のメスが入った。リニア中央新幹線は二〇〇七年十二月にJR東海が、全額自己負担で整備することを発表。一一年に南アルプスを通るルートでの整備計画が決定した。本体工事契約は一五年から始まっており、これまでに二十二件の工事が契約済みとなっている。

 JR東海は、国交省の外郭団体から計三兆円の財政投融資を受けるなど、リニア中央新幹線工事で公的資金も借り入れている。財投を活用して利子負担を軽減して二七年の品川−名古屋間開業と、当初の計画を最大で八年前倒しする三七年の大阪までの全線開業の実現を目指している。

 大手ゼネコンは〇五年十二月に「談合決別宣言」をしたが、〇七年には名古屋市発注の地下鉄工事を巡る談合事件が発覚。大林組と鹿島、清水建設の元担当者らが有罪判決を受けた。

 さらに一一年の東日本大震災以降の高速道路の復旧工事を巡っても独占禁止法違反の疑いで、大手ゼネコンのグループ会社などが一五年に公正取引委員会の強制調査を受けるなど、受注調整が行われていたことが明らかになっている。

<独占禁止法(独禁法)> 市場を独占して競合他社を妨害する行為を防ぎ、企業の公正で自由な競争を促すルールを定めた法律。入札談合や価格カルテルといった不当な取引制限などを禁じている。公正取引委員会が調査権限を持ち、課徴金納付命令などの行政処分をする。悪質性が高いと判断した場合、検察当局への刑事告発の対象となり、裁判所の令状に基づき家宅捜索や差し押さえをする。公取委に違反行為を自主的に申告すれば課徴金が減免される制度があり、最初に申告した会社は告発も免れる。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報