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【社会】

子宮頸がんワクチン推奨議論「再開の機運に」 安全性検証記事で英科学誌が賞

記者会見する村中璃子さん=18日、東京都千代田区の厚生労働省で

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 子宮頸(けい)がんワクチン(HPVワクチン)の安全性を検証する記事を書き続けてきた医師でジャーナリストの村中璃子(りこ)さんが先月末、英科学誌ネイチャーなどが主宰するジョン・マドックス賞を受賞した。村中さんは18日に厚生労働省で記者会見し、「受賞が国内のワクチン接種を促す議論を再開するきっかけになってほしい」と語った。 (阿部博行、藤川大樹)

 ジョン・マドックス賞は今回で六回目。困難や敵意に屈せず公益に資する科学的理解を広めた個人を表彰する。村中さんは二十五カ国の九十五人の候補者の中から選ばれた。日本人の受賞は初めて。

 村中さんは自身の執筆や講演活動をめぐり、ワクチンに反対する人たちから誹謗(ひぼう)中傷や妨害を受けたことを明かし、「受賞理由で言論活動を封じようとする力が働いたにもかかわらず、発言を続け、世界の公衆衛生に役立つ活動をしたと評価された」と喜びを述べた。

 世界保健機関(WHO)はHPVワクチンの安全性と有効性を認めているが、国内では接種後の体調不良の報告が相次ぎ、政府は四年前から接種を呼びかける「積極的勧奨」を中止している。だが国の内外の疫学調査で体調不良の原因は、思春期に多く見られる「心身の反応(機能性身体症状)」の可能性が高いことが分かってきた。

 村中さんは、国内の接種率が70%から1%未満へ急落した現状にも言及。「科学的根拠を欠いた誤情報があふれ、子どもたちが将来、命の危険にさらされるのを医師として見過ごせない。執筆活動で真実を伝えていく」と述べた。

 村中さんを推薦した日本産婦人科医会の木下勝之会長は「この受賞が厚労省に強いインパクトを与えると信じている」とコメントしている。WHOは日本の勧奨中止を批判し、国内の産婦人科学会や小児科学会など十七団体も勧奨再開を求めている。

<子宮頸がんとワクチン> ヒトパピローマウイルス(HPV)感染で子宮入り口付近にできるがん。日本では20〜30代の女性に多く、年間1万人が発症し、3000人が命を落とす。国内で販売されるHPVワクチンは悪性度の高い2つの型のウイルス感染を予防。2013年4月に定期接種となり、12歳から16歳の少女に筋肉注射で3回接種する。体調不良の報告が相次ぎ、同年6月から接種を促すはがきの送付など「積極的勧奨」が差し控えられた。ワクチンは世界130カ国で使われ、米国や豪州は男性にも接種される。

 

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