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【社会】

リニア難工事 受注調整か 品川駅・トンネルなど

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 JR東海が発注したリニア中央新幹線工事をめぐり、品川、名古屋両駅部や、南アルプストンネルなどの難工事で、大林組(東京)など大手ゼネコン四社の幹部らが受注調整していた可能性があることが、関係者への取材で分かった。 

 四社はリニア工事で契約済みの工事の約七割をほぼ均等に受注している。東京地検特捜部は十八日、公正取引委員会とともに独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、鹿島、清水建設の両本社(東京)を家宅捜索。さらに大成建設や大林組も家宅捜索する方針で、強制捜査の対象を広げ、九兆円超の巨大プロジェクトの入札の実態解明を進める。

 特捜部は既に、避難施設「名城非常口」(名古屋市)工事の入札を巡って偽計業務妨害容疑で大林組を家宅捜索し、四社の幹部らを任意聴取している。

 ゼネコン関係者によると、四社の担当者は、月一回程度開かれる業界団体の会合に出席し、その場で「あの工事はうちにやらせてよ」などと、リニア工事に関して話題にする機会があったという。

 JR東海によると、二〇一五年八月〜今年十一月、二十二件の工事で契約を結び、四社が約七割の十五件を受注。各社三〜四件ずつ、ほぼ均等に工事を分け合う形になっている。

 各社の受注件数は、鹿島が「南アルプストンネル長野工区」などトンネル二件と、非常口一件の計三件。清水建設は「品川駅北工区」と非常口一件、トンネル二件の計四件。大林組は「品川駅南工区」「名古屋駅中央西工区」の二件と、非常口二件の計四件。大成建設は「南アルプストンネル山梨工区」などトンネル四件となっている。

◆「もはや国家事業」 3兆円の財政投融資 用地取得の税金免除

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 総工費九兆円超のリニア中央新幹線工事に司法の目が向けられている。この巨大プロジェクトはJR東海という民間企業による事業だが、財政投融資と税制優遇で国の支援を受けており「公共事業」の色がにじむ。

 JR東海が政府から受ける財政投融資は計三兆円。三十八年六カ月〜三十九年の貸付期間に対し、金利は年0・6〜1・0%の固定と低く、国土交通省の試算によると、民間からの借り入れと比べ五千億円ほど金利負担が減る。

 財政投融資の資金は政府が国債の一種の「財投債」を発行し、銀行や保険会社などから借りる。JR東海への金利は将来にわたり低いまま固定されているが、財投債は日銀の政策変更や景気の改善で金利が上昇する可能性がある。政府の支払う利息が貸し出した金利分より多くなれば、その穴埋めに税金が使われる恐れがある。

 もともとJR東海は国など外部からの介入や調整を回避しようと、全事業費を自己負担すると主張していた。しかし、安倍政権が支援する考えを示すとJR東海は方針を転換。国も法改正をしてまで融資を可能にした。

 JR東海が国から受ける支援は税制面でもある。二〇一四年度税制改正で、東京−名古屋間の用地取得に伴う不動産取得税と登録免許税の二税(計百八十四億円)が免除となった。リニア建設に詳しい橋山礼治郎アラバマ大名誉教授(公共計画)は「リニア建設は金利や税制と異例ずくめ。民間プロジェクトだった当初の計画から大幅に変わり、財政投融資まで入っていればもはや国家事業だ」と話している。 (木村留美)

 

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