東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

児相専門職の育成難航 23区、法改正で増員急務

改修し、2020年に世田谷区の児童相談所として開設を目指す区立総合福祉センター(朝倉豊撮影)

写真

 東京二十三区にも児童相談所(児相)を開設できるようになった二〇一六年の児童福祉法改正に伴い、子どもたちと接する児童福祉司と児童心理司に実務経験を積ませる都の研修枠が不足している。当面、二〇年の新設を目指す三区の約百人の育成を急いでいるが、研修枠は三十五人。周辺の県や政令市に受け入れを要請している。 (木原育子)

 児相の業務では、調査や訪問指導なども担当する児童福祉司や、心理面での専門知識を持ち、カウンセリングなどを担当する児童心理司は欠かせない存在。各区に児相運営のノウハウがないため、実務経験はどうしても必要になる。

 改正法に伴い、二十三区で児相開設を目指しているのは二十二区。二〇年に新設を目指す荒川、世田谷、江戸川の三区職員が都の児相に派遣され、虐待の疑いがある家庭を回ったり、一時保護する際の手続き方法などを学んでいる。

 ただ、研修は最低でも二年必要で、枠が空かない限り新たに受け入れできない。今後、残る十九区向けの研修予定者が増加するのに加え、都の職員も育成しなければならない。

 二十三区の区長でつくる特別区長会は、人材育成の強化を繰り返し都に要望しているが、都の担当者は「支援したいが、日ごろの業務もある中で、こちらも精いっぱい」と話す。

写真

 「待機児童対策では保育士の争奪戦があるようですが、児相では児童福祉司や児童心理司の取り合いになるでしょう」。東京都内の児相に勤務する職員が現状を語った。世田谷区の担当者は三年後の開設に「間に合うのか」と懸念する。

 こうした状況を受け、特別区長会は、来年度から育成のための派遣を受け入れてもらえるよう都外の自治体に要望した。

 一部の区は都外の自治体で実務経験を積ませている。江戸川区は、都への三人のほか千葉県と千葉市に計三人を派遣した。全国最多の十四児相がある神奈川県の担当者は「子どもを守るために、自治体間の連携が何よりも大切だ」と訴える。

<児童福祉司と児童心理司> 児童福祉法は児童相談所に児童福祉司を置かなければならないと定めている。児童福祉司は被虐待児の面談や保護者の指導を行い、児童へのカウンセリングといった心のケアは児童心理司が担当し、ペアで活動することが多い。いずれも大学で心理学を専攻するなどの資格要件を満たせば資格試験は不要。厚生労働省は虐待件数の増加などから19年度末までに、合わせて730人程度の増員を目指している。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報