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【社会】

老朽マンション管理、条例効果に? 板橋区が今月制定 先行の豊島区では3割超無届け

修繕したひびの跡を示し、分譲マンションの管理の苦労を語る鷹合謙さん=東京都板橋区で

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 一九七〇年代から急増した東京都内の分譲マンションで、建物の老朽化と住民の高齢化が進んでいる。将来、管理組合が機能不全に陥り、空き住戸が増えてスラム化する懸念も。今月、適切なマンション管理を条例で定めた東京都板橋区のケースは罰則を伴う強い内容だが、先行する他の自治体の例を検証すると、実効性に疑問符が付く。 (増井のぞみ)

 板橋区内にある九階建てマンション。築四十四年で、所有者の約半数が六十歳以上と高齢化が進む。最近、水漏れしていた配水管を五百万円で修理した。管理組合の鷹合謙(たかごうけん)理事長(77)は「今度大きな工事をする時は、お金が足りなくなる」と心配する。

 五年前も大規模修繕に六千万円かかった。組合の積立金では賄えず、二千万円は借金。返済を進めるが、未返済が約一千万円ある。

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 全四十三世帯のうち、約半数は所有者が賃貸に出している。「住んでいない所有者は、組合の会合に出てくれない。組合の仕事は、自分が死ぬまでがんばるしかない」

 全国の管理組合を支援する公益財団法人「マンション管理センター」(東京)の担当者は「築十年を過ぎると相談が急増する」と明かす。昨年度に受けた八千件超の相談のうち、築三十一〜四十年が最多の24%を占めた。

 都によると、古いマンションほど居住者の高齢化や空き住戸の増加が進み、管理組合の活動が低調になる傾向がある。全国では、管理不全から建物の一部が落下してけが人が出たり、住民が退去した例もある。

 こうした事態を未然に防ぐため、二〇一三年に全国で初めて罰則付きのマンション管理条例を施行したのが東京都豊島区。管理組合をつくり、長期修繕計画の策定などを義務付け、管理状況を届け出るよう求めた。従わないと「悪質マンション」として物件名を公表できる。

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 施行から四年になるが、管理状況を届け出たのは、区が把握する全組合(千百五十七件)の67・8%(七百八十四件)にとどまる。三割以上は無届けだ。

 こうした無届けマンションに罰則が科された例はない。区は一五〜一六年度、無届けのうち古い物件を中心に約二百六十件を訪問したが、「平日の日中に一度きり」だったため、組合役員に会えないことが多かった。罰則の前に必要な指導・勧告の手順を踏むことすらできず「資産価値を下げることになる罰則の運用には、慎重にならざるをえない」(小池章一住宅課長)。

 今後、老朽マンションは激増する。不動産コンサルタントの長嶋修さんは「中古マンションの価格は立地や広さ、築年数で決まることが多く、管理状況は反映されてこなかった」と指摘。「マンションの荒廃を防ぐには、悪質な物件だけでなく優良なものも公表し、管理の良しあしが資産価値に直結する仕組みをつくるべきだ」と提案している。

<老朽マンション> 東京都によると、都内のマンション総戸数は約177万戸で、全世帯の4分の1(2016年時点)に当たる。13年時点で、着工から40年以上になる物件は約12万6000戸。建て替えが進まなければ、10年後には約3・4倍の約42万8000戸に急増すると推計している。

 

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