東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

寂聴さん「排除」憂う 戦時中と似た感覚、自作に込め

自身の創作について語る瀬戸内寂聴さん=京都市右京区の寂庵で

写真

 作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん(95)が、本紙朝刊一面で掲載の「平和の俳句」に自作を寄せた。選者を務める俳人黒田杏子(ももこ)さん(79)との親交が縁。京都の寂庵(じゃくあん)で、句に込める思いを聞いた。 (川原田喜子)

 <冬すみれ排除の文字は読めませぬ>

 題材は、今年十月の総選挙を巡る小池百合子・東京都知事の発言。当時、希望の党の代表として、公認希望者の一部を「排除いたします」と断言したことを踏まえ、今の政治と社会のあり方を問いかける。

 草花や樹木を好み、季語の「冬すみれ」を「いなかに暮らすおばあちゃんみたいな花」という寂聴さん。その姿に、普通の国民を重ねた。「排除なんて言葉を使う政治は国民には読めません。伝わりません」

 小池発言に限らず、立場や考えの違う人を敵視し、排除したがる風潮を懸念する。「アメリカが第一、日本が第一。私が子どものころも、そういう考え方がはやってたの。今は昭和十七、十八年ごろの、軍靴が暮らしのすぐそこまで迫った時と似た感覚です」

 俳句を始めたのは半世紀も前。小説に打ち込むためしばらく離れていたが、三年前に入院した折「病床での楽しみに」と再開。今年五月には、初の句集「ひとり」(深夜叢書社)を出した。九十歳を過ぎてなお「前衛的な俳句を詠めるようになりたい」と取り組む。

 黒田さんは東京女子大の同窓生。寂庵で一緒に句会を開いていた。九月から選に当たる「平和の俳句」の話を聞き、投句を勧められた。「戦争を知ってる人はもう一握りで、その俳句は貴重です。皆さん、これが最後と思って作ったはず」と語り、自身の戦争体験を「五・七・五」に昇華させた投句者に思いを巡らす。

 「ひとり」にも、戦争と平和を詠んだ句を収めた。

 <戦火やみ雛(ひひな)の顔の白さかな>

 <反戦の怒濤(どとう)のうねり梅開く>

 戦時中は飾って楽しむこともできなかったひな人形を新調した時、反戦デモの勢いを見た時−。「『平和の俳句』って、詠み手の中から自然に湧き上がるものじゃないでしょうか」

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報