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【社会】

富岡八幡、憂いの年末年始 宮司代務者で例年通り行事

富岡八幡宮の境内=東京都江東区で、本社ヘリ「あさづる」から

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 東京都江東区の富岡八幡宮で、神職トップの女性宮司が元宮司の弟に日本刀で殺害された事件から二週間余りが過ぎた。富岡八幡宮ではナンバー2の権宮司が宮司代務者に任命され、例年通りに年末年始の行事を行う。事件の背景に宮司の地位をめぐる姉弟の確執があり、宮司はしばらく空席が続きそうだ。 (阿部博行、加藤健太)

 事件から一週間後の十四日、富岡八幡宮は宮司の富岡長子さん(58)が弟の茂永容疑者(56)に襲われた現場や境内などの三カ所で、穢(けが)れなどをはらう神事の大祓(おおはらえ)を行った。「人々が心を穏やかにできるようにするため」(職員)だ。

 一方、長子さんの葬儀日程は未定で年内は行わないという。神社の運営を取り仕切る責任役員会は事件後、丸山聡一権宮司(57)を宮司代務者に任命した。その後の宮司人事は未定のままだ。

 富岡八幡宮の宮司は富岡家が世襲してきたが、ある神道関係者は「税法上の優遇を受ける宗教法人の私物化に等しいのでは」と疑問視する。姉弟の派手な生活などが報道されたからだ。富岡八幡宮の代理人弁護士の佐藤歳二弁護士は「将来、血縁者を宮司に就かせるかどうかは、責任役員会が地元の総意を踏まえて判断する」と話す。

 茂永容疑者は事件直前、責任役員宅や学校など二千八百カ所に「実行されなかった時、私は死後も怨霊となり、永遠にたたり続ける」とつづった文書を送り、別の神社に勤める息子を富岡八幡宮の宮司にするよう要求した。関係者は、後継宮司を決める時の火種になりかねないとみている。

◆初詣客キャンセル 商店主ら困惑

 富岡八幡宮には毎年、約十五万人が初詣に訪れるが、事件の影響で参拝者が大幅に減る恐れがあり、地元の商店関係者は困惑している。

 飲食店主の三十代の男性は「毎年来てくれたお客から五十人分ほどをキャンセルされた。一度ほかの神社に参拝したら、なかなか戻ってこないのでは」と心配している。

 近くの住民らの反応は冷ややかだ。東京都中央区の女性(82)は「子供のころから大みそかに八幡さまにお参りして、年越しそばを食べるのが恒例でしたが、この年末は気持ちが悪いので行きません」と話した。江東区の男性会社員(53)は参拝先を変えるという。「長女と長男のお宮参りや厄よけも八幡さまでやりましたが、縁起が悪いので初詣は別の神社にします」

 八幡宮はホームページで事件を謝罪したが、近隣住民に直接説明する場を設ける予定はないという。

◆富岡八幡宮をめぐる主な経過

1995年3月 富岡茂永容疑者が宮司に就任

2001年4月 茂永容疑者が宮司を退任。5月から父が復帰

2006年1月 茂永容疑者が姉長子さんへの脅迫容疑で逮捕

2010年12月 長子さんが宮司代務者となる

2017年5月 責任役員会が神社本庁からの離脱を議決

     9月 神社本庁から離脱(28日)。長子さんが宮司に

    12月 茂永容疑者と妻真里子容疑者が、長子さんと運転手を死傷させた後、自殺(7日)

<富岡八幡宮> 江戸初期の創建で将軍家の保護のもと「深川の八幡さま」として庶民の信仰を集めた。江戸勧進相撲の発祥地。深川八幡祭りは江戸三大祭りの一つ。富岡長子さんの祖父盛彦氏(1974年死去)は神社本庁の事務総長を務めた神道界の功労者。2012年8月には天皇、皇后両陛下が宮司代務者だった長子さんの出迎えを受け、祭りを見学された。今年9月末に神社本庁から離脱して単立の宗教法人となり、長子さんが宮司に就任した。

 

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