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【社会】

芸大「木の柵」スクスク 開かれた大学へ 学生ら苗木植樹

昨年秋に苗木を植えた上野公園との境に立つ君塚特任助教(右)と島田課長。だいぶ育ってきて、来年には刈り込み(ヘッジ)も=東京都台東区で

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 東京・上野の東京芸術大で、キャンパスを武蔵野の多様な木々で取り囲む「芸大ヘッジ」プロジェクトが進んでいる。鉄の柵を徐々に撤去し、代わりに学生らが苗木を植えて手作りの生け垣をつくる。資金も一般から広く寄付を募るなど、開かれた大学をアピールしようとしている。 (井上幸一)

 十一月の土曜日。上野キャンパスを貫く一般道と美術学部の敷地の境に、学生や卒業生、教員ら約四十人が集まった。軍手をはめた手にはスコップ。鉄柵を撤去した長さ約二十五メートルのエリアに、クロマツ、ツリバナ、ノムラモミジ、ヒサカキ、ヒイラギ、ヤマブキ、マサキ、ニシキギなど落葉樹、常緑樹を交ぜた約三十種類を手分けして植えていった。

 「ヘッジ」とは「刈り込み」という意味で、ある程度育ったら手を入れ、「見通しのいいバリアー」を目指すという。まとめ役を務める美術学部建築科OBでキャンパスプロデューサーの君塚和香(わか)特任助教(48)は「植栽はツツジやサツキなど単一が普通だが、混植によって、多様な表情になる。季節感のあるフワフワした境界にしたい」と意欲的だ。

 苗木の購入費などは、インターネットで寄付金を募るクラウドファンディングを活用し、目標の百万円を上回る百十八万一千円が集まった。

 きっかけは二〇一四年二月の記録的な大雪。キャンパス内の保存林の枝が大量に折れ、散乱した。長年の間に常緑樹、外来種が勢力を伸ばし、単一的な古くて弱い森になっていた。君塚さんは学生や教職員に呼び掛け、この森に三年間で約百種類、千八百本の武蔵野由来の苗木を植樹。多様で豊かな森の再生を図った。

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 芸大ヘッジはその取り組みの発展型。まずは昨年秋、上野公園との境の約八十メートルの人通りの少ない区間に、同様に多様な苗木を植えた。門に近い場所での今年十一月の植樹活動はその第二弾だ。

 「来年以降の植樹場所は構想中。安全管理の面も考えなくてはいけない」と君塚さん。「豊かな自然環境は、芸術を学ぶ学生に良い影響を与える」

 芸大施設課長の島田智康さん(45)は「業者に任せてしまうのでなく、多くの人に関わってもらう点が大切。一般の方も植樹に参加してもらい、芸大ファンを増やしたい」と話す。本物の柵だけでなく、心の柵もないオープンな大学にする構想ということだろう。

 

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