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【社会】

乳がん診断の負担軽く 乳腺に振動波、画像化新技術

乳房の人体模型に小型加振器などを当ててパソコンに振動波の画像を出す実験の様子=群馬県桐生市で

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 群馬大大学院理工学府(群馬県桐生市)の山越芳樹教授(医用工学)が、女性の乳腺に表面から振動波を与えて乳がんを画像診断し、患者の負担軽減が期待できる新しい技術を開発した。国内の特許に加え、欧米で国際特許も出願している世界初の技術。既に群馬大病院(前橋市)が臨床評価を始めており、数年後の実用化を目指している。 (菅原洋)

 乳がんの診断では、エックス線撮影による「マンモグラフィー」が一般的だが、被ばくの問題や、写った影はがん細胞なのか判別が難しい場合もある問題が指摘されている。

 新技術は、乳房の表面に加振器を当てて乳腺内に伝わる振動波の様子を、画像診断装置から発する超音波によって約四秒間で画像化する。

 小石を落とした際に水面に広がる波紋のような画像で、波紋の状態に異常が現れているかによって組織の硬さが判断でき、硬いがん細胞なのか、単なるしこりなのかが形状を含めて診断できる。振動に伴う痛みはないという。

 新技術は、しこりの硬さなどを確認する「触診」や、乳房の中に医療器具を挿入して細胞を取り出し、がん細胞かどうかを確認する診療を補強し、患者の負担軽減が期待できる。

 山越教授は十月に台湾で開催された「世界超音波医学学術連合大会」で新技術を発表した。群大病院の中島崇仁(たかひと)准教授が今年一月に開始した臨床評価では、従来法に比べて乳がんが明瞭に映像化できるなどの成果が上がっているという。

 新技術は一般的な開業医でも持っている通常の画像診断装置とパソコンが利用できるコストの安さが特長。健康診断にも有効活用できる。現在は乳房に当てる小型加振器の開発に取り組んでいるが、技術的には難しくないという。

 乳がんの死者数は世界で二〇一二年に約五十万人だったとの推計があり、国内では一六年に約一万四千人でいずれも増加傾向にある。

 山越教授は「この技術を健診に有効活用し、乳がんの(死者を減らす)発見率向上につながってほしい。早期発見により、乳がんによる摘出手術も少なくなれば」と期待する。

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