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【社会】

無人米軍住宅に年20億円 民有地借り上げ 日本負担

米軍根岸住宅地区周辺=横浜市で、本社ヘリ「おおづる」から(坂本亜由理撮影)

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 二〇〇四年に日本側への返還が合意されながら手続きが進んでいない横浜市の在日米軍住宅施設を巡り、ほぼ無人となった一五年以降も、日本側が施設区域の民有地の借り上げ費用など年間約二十億円を負担し続けていることが、防衛省への取材で分かった。地元関係者らからは、税金の無駄遣いだとして早期返還を求める声が上がる。 (原昌志)

 施設は米軍人とその家族向けの「根岸住宅地区」で、横浜市の中、南、磯子の三区にまたがり、面積は東京ドーム九個分にあたる約四十三ヘクタール。周辺は閑静な住宅地で地元は長年、返還を求めてきた。

 〇四年十月の日米合同委員会で、米軍施設「池子住宅地区」(横浜市金沢区、逗子市)に新たな住宅を建設するのと引き換えに、日本側への返還が決定。その後、建物の老朽化もあり一五年十二月には、居住していた米軍人らは施設外の民間住宅に移るなどして全世帯が退去。現在も警備要員らを除きほぼ無人となっている。

 ただ、移設先の池子地区の周辺住民は開発による緑地環境の悪化などを懸念し、建設に難色を示している。このため根岸地区の返還手続きは停滞している。防衛省は毎年、池子地区の新住宅建設の前提となる環境影響評価(アセスメント)費用を予算計上し、一八年度予算案にも一億三千四百万円を盛り込んだが、着手のめどは立っていない。

 日本政府はこの間、米軍への施設提供を日本側の義務とした日米安全保障条約と日米地位協定に基づき、根岸地区内の36%を占める民有地の借り上げ費や崖地保全費用を負担し続けてきた。

 周辺の地価などを参考に、一六年度実績で約二十一億円かかっており、米軍が退去した一五年度からの三年間では約六十億円を支出。今後も同程度の金額が必要となる見込みだ。池子地区への移設に今すぐ着手したとしても、完成までには最低二年以上を要するため、支出は百億円を超えることになる。

 根岸地区の地元自治体の関係者は「多額の費用がかかっており、無駄遣いだ。池子地区と切り離して先行返還を考えるべきではないか」と訴える。跡地利用を検討している横浜市基地対策課の担当者も「米軍施設は必要がなくなれば返還するのが原則。国は実態を踏まえ、米側と協議するなどしかるべき対応をとってほしい」と話す。

 防衛省地方調整課は「日米の政府間合意は重い。早期の池子地区の住宅完成を目指したい」としている。

<米軍根岸住宅地区> 1947年に米軍が接収し、米海軍軍人ら約400世帯が入居していた。国有地が64%、民有地が36%。日米安全保障条約と日米地位協定に基づき、米軍への施設提供は日本側の義務とされ、返還は米側の合意が必要。

 

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