東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

八重洲再開発、波乱含み 東京駅前 地権者同意7割止まり

再開発の地区となっている八重洲2丁目中地区=東京都中央区で、本社ヘリ「おおづる」から

写真

 首都の玄関口、JR東京駅八重洲口の目の前で計画されている八重洲二丁目中地区の再開発事業(東京都中央区)をめぐり、一部の地権者が「八重洲の街並みを守る会」をつくり、反対を続けている。本紙が入手した中央区作成の資料によれば、開発に必要な地権者同意を満たせるか微妙な状態で、再開発の行方は視界不良だ。 (藤川大樹)

 八重洲口の駅前では、八重洲一丁目東▽八重洲二丁目北▽八重洲二丁目中−の三地区で大規模な再開発事業が進む。それぞれ二百四十〜二百五十メートルの三棟の超高層ビルが建設され、三地区の地下に東京駅周辺のバス停を集約したバスターミナルを整備する。ビジネス交流拠点整備などを迅速に進めるための国家戦略特区に認定され、中央区幹部は「まさに国家プロジェクトだ」と話す。

 問題の中地区では、約二・二ヘクタールの敷地に、地上四十六階・地下四階の超高層ビルを建て、事務所や店舗のほか、外国人向けの滞在施設やインターナショナルスクールが入る。三地区で最も遅い今年九月に都市計画決定され、二〇二五年度の完成を目指している。

 しかし、中央区が十月に作成した資料によると、中地区の再開発に同意した地権者は六十二人のうち四十三人で、同意率は69%。

 再開発組合を設立し、東京都の認可を受けるためには、地権者の三分の二以上の同意が必要で、ぎりぎりの状態。行政は従来、九割以上の同意率を目指すよう指導してきた。守る会は「多様な業種が集まる八重洲の魅力が、再開発で損なわれてしまう。同意が不十分なまま、強引に進めるべきではない」と訴えている。

◆「画一的な高層化は伝統壊す」街並みを守る会

写真

 東京都中央区八重洲二の再開発計画地にある九階建てのオフィスビル。壁面には「STOP!再開発」と書かれた巨大な垂れ幕がかかる。「八重洲は江戸時代から続く商人・職人の街。中小企業や中小のビルがあってこその街で、画一的な超高層ビルの建設は、歴史や伝統を壊してしまう」。八重洲の街並みを守る会の事務局長(33)は、そう憤る。

 守る会の地権者が所有するビルには、理髪店やインド料理屋、税理士事務所など小規模のテナントが多く入り、地権者の一人は「再開発で賃料が高騰すれば、中小のテナントは採算が合わず、街から出て行かざるをえない」と懸念する。

 中地区では二〇一三年に再開発準備組合が設立された。大手デベロッパーの三井不動産やゼネコンの鹿島などが計画を進め、地域の活性化を期待する区も地区計画の変更などを支援。準備組合の設立総会には吉田不曇副区長が出席し、「不退転の決意で本再開発に臨む」と発言し、全面的な肩入れを印象づけた。

 こうした経緯を経て、東京都は、バスターミナルの整備などが地域貢献になるとして、容積率を800%から1670%へ、高さ制限を五十六メートルから二百四十メートルへと大幅に緩和した。一級建築士の資格を持つ元中央区幹部職員(70)は「容積率が倍になれば、床面積が倍に増え、同じ大きさのビルを二棟建てられるのと同じ効果を持つ。開発業者やゼネコンのもうけは大きくなる」と解説する。

 一方、都内で再開発ビルを管理する不動産関係者は、八重洲口前を含め、あちこちで再開発が進む状況を踏まえ、「後から建つオフィスビルほど、テナントが入らない『空室リスク』が高まる。行政は外資系企業を誘致すると言うが、企業も無尽蔵にあるわけではない」と指摘し、再開発に前のめりになる行政にくぎを刺した。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報