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【社会】

13議会は原則禁止 審議会兼務問題

 全国で延べ約千三百人の都道府県議が兼務している自治体の審議会などの委員。本紙の調べでは、兼務を原則禁止としている議会も十三あった。行政と議会の独立という原則を尊重する趣旨で、こうした自治体では実際に兼務は少ない傾向にある。一方で、長野県のように知事の交代で兼務が復活した例もある。 (木原育子)

 兼務の原則禁止の取り決めがある十三議会のうち、十一議会は、議会の役割を明確にした議会基本条例も制定している。

 審議会などの議員枠が二人と全国で最も少ない福島と鳥取両県は、議員からの委員選任が法令で定められた都市計画審議会などを除き、兼務を原則禁止する取り決めを議会と結んでいる。議会基本条例を制定している点も同じだ。

 議員の兼務が多い関東でも、群馬県は兼務を原則禁止している。県などによると、一九九〇年代後半ごろは議員一人当たりの委員数が関東で最多だった。だが二〇〇八年に条例を定め、県に対し、委員の委嘱をしないよう求めた。

 東京都議会では、最大会派の都民ファーストの会などが昨年七月の都議選時に条例制定を公約に掲げたが、具体的な動きはない。神奈川県は条例をつくったものの、兼務の原則禁止は打ち出していない。

 長野県では〇一年に当時の田中康夫知事が兼務を禁止したが、辞任後の一五年に復活した。あるベテラン県議は「議員の感覚を施策に反映したいと思い、元に戻した」という。

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◆田中康夫・元長野県知事に聞く 議会・首長と別視点で議論を

 二〇〇〇〜〇六年の長野県知事時代、県議を審議会などの委員に委嘱することをやめた作家の田中康夫氏に、この問題をどう考えればいいのかを聞いた。 (聞き手・木原育子、森川清志)

 地方議員は、審議会の委員を歴任するのが箔(はく)付けになる。国会に業界や団体の意向を反映する建設族や文教族といった族議員が存在するように、こうした地方議員は自治体職員からも一目を置かれがちだ。

 でも、議員は議会で発言する機会があり、具体的要望を担当部局に伝えることが可能。首長と議会が“車の両輪”だとするなら、別の視点や立場で議論する場が審議会の役目。だから、議員からの選出枠が国の法律で定められている審議会を除き、委嘱をやめた。

 それに代えて、自分の言葉で語れる有権者から、委員を論文と面接で一般公募した。こうした「よそ者」の参入が、以前から委員を務める学識経験者や経営者に刺激を与え、ひとりの納税者として「しがらみ」を超えて語ってもらう切っ掛けにもなった。

 そうして審議会を、役目を終えた事業なのに予算計上し続ける「行政の継続」にお墨付きを与える「アリバイ機関」から脱却させてこそ、住民本位の行政に近づくのではないかと考えた。

 他方で、行政側と違って議会側は制度上、予算を伴う事業を自ら起案して提出することは不可能。だからストレスも生まれる。例えば各議員に年間一千万円までの予算提出権を与えるのも一案だ。その使途と効果を検証する委員会を設けることで、議会・行政・住民が三位一体で切磋琢磨(せっさたくま)し、地方自治は活性化する。

 

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