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【社会】

極めた境地、互いに尊敬 羽生、井山さん 国民栄誉賞決定

国民栄誉賞受賞が決まり、記者会見で笑顔の羽生善治さん=5日、東京都渋谷区の将棋会館で

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 国民栄誉賞の授与が五日決まった将棋の羽生善治さん(47)と囲碁の井山裕太さん(28)は、数年前から何度も対談を重ね、互いにリスペクト(尊敬)し合う関係を築いてきた。記者会見でも互いの功績をたたえ合った。 (樋口薫、谷村卓哉)

 この日は将棋界、囲碁界とも始業日に当たり、羽生さんは東京で「指し初め式」に、井山さんは大阪で「打ち初め式」に出席中の慶事となった。

 羽生さんは東京・千駄ケ谷の将棋会館で、日本将棋連盟常務理事の清水市代女流六段(48)から花束を受け取り、「驚きと同時にうれしく思う。棋士としていっそう精進していかなくては」と笑顔で語った。井山さんとの同時授与となったことに、「現在進行形で囲碁の歴史をつくられている棋士なので、同じ日に賞をいただけることは私にとっても誇り」と述べた。

 井山さんは地元の大阪市のホテルで記者会見。「私がいただいても良いのかという思いもあるが、囲碁界全体を評価していただけたという意味で、非常にうれしい」とやや緊張の面持ちで語った。羽生さんについては「大きな目標である方なので、同時にというのは大変恐縮している。自分も長く活躍できるよう努力したい」と敬意を表した。

 井山さんの師匠の石井邦生九段(76)も会見に同席。「弟子入りは羽生さんが七冠独占を果たした年だった。『この子は羽生さんのようになる』と日記にも書いた。本当に感無量だ」と目を細めた。

 二人は二〇一四年元日付の本紙新年企画で「天才×天才」と題して対談した。

 その席で、先輩の羽生さんは「年齢を重ねるとリスクを避けがちですが、あえてリスクを取るのも大事。まったくリスクを取らないのは最大のリスクになる」と井山さんに助言した。

受賞が決まり、記者会見で喜びを語る井山裕太さん=5日、大阪市内のホテルで

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 井山さんの「メンタルの部分をどういうふうに鍛えたらいいのか」という質問への答えだった。常に新しい戦法を研究し、取り入れてきた羽生さんらしいアドバイスだ。井山さんも「自分の中に打ちたい手があって、それを選ばずに負けてしまった時の後悔は大きい」と応じ、積極性の重要さに共感した。

 話題は社会的な内容にも広がった。羽生さんは「社会に閉塞(へいそく)感を抱く人が多いとしたら、一つはフロンティアがなくなったこと」と語り、「今はいろんなものが出来上がってしまっている。その中で生き残っていくには、個人の単位で方法論を考えるのが大事」と持論を述べた。井山さんも同調し、「良いときに頑張るというのはそれなりにできるが、大変なときにも頑張れるかどうかが問われる」と、困難な時代を乗り越える心構えを説いた。

 第一人者ならではの喜びも苦しさも知る二人の言葉には、互いを尊敬し合う思いがにじむ。井山さんは今年二月に世界戦の決勝が控えており、羽生さんは前人未到のタイトル獲得通算百期にあと一期と迫っている。

◆挑戦する姿に感動

<将棋の藤井聡太四段の話> 国民栄誉賞の受賞、誠におめでとうございます。羽生先生の探求心やチャレンジ精神あふれる姿にいつも感動をいただいています。永世七冠の獲得という偉業に続き、このたびの受賞に心よりお祝い申し上げます。

◆身が震える思い

<井山裕太さんの師匠の石井邦生九段の話> 国民栄誉賞という朗報に全国数百万の囲碁ファンの皆さまは拍手喝采を送ってくださるでしょうし、私も身の震えるような思いをしています。素晴らしい栄誉と重みを担ってこの受賞を励みとし、囲碁界の発展のために尽力してください。

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