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【社会】

夫婦別姓求め夫が提訴へ IT企業社長「多様な価値認めて」

提訴を前に、夫婦別姓が認められないことの不合理について話す青野慶久さん=東京都中央区で

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 結婚して妻の姓に変えたソフトウエア開発会社「サイボウズ」(東京)の社長青野慶久(よしひさ)さん(46)が、夫婦別姓を認めない現行の法制度は違憲だとして、国に損害賠償を求め、東京地裁に九日提訴する。代理人弁護士によると、夫婦別姓を巡って、結婚後に姓を変えた男性側が訴訟を起こすのは珍しい。

 青野さんは結婚前に現在の会社を起業。二〇〇一年に結婚した際、妻の希望に応じて自らの姓を「西端」に変更したが、仕事は旧姓の「青野」を通称使用してきた。

 「結婚前は妻が姓を合わせてくれるものと思っていた。『姓が二つあるのも面白い』と深くは考えずに変えたものの、実際にやってみると、日々苦労の連続でした」

 普段は通称を使用していても仕事の公式書類は「西端」のサインを求められることも多く、毎回ルールを確認しながらの記入が必要に。出張の際のホテルや航空券の名義も、パスポート名と合わせるために「西端」の姓を使わざるを得ないという。

 「ビジネスの世界で一分一秒の短縮をしているのに、こういう手間はかなりのストレス」と青野さん。保有する自社株の名義替えにかかった費用は約八十万円。さらに株の名義が「西端」姓で公表されるため、投資家からは社長が自社株を保有していないと誤解されることもあった。

 一五年十二月、最高裁は夫婦別姓を認めない民法七五〇条の規定を合憲と判断。判決は「通称使用が広まることで不利益は緩和される」とした。

 青野さんは「通称使用でも不利益は十分に大きい。同姓か、別姓か選べるようにすれば誰も困らないはずだ。これは女性だけの問題ではない」と訴える。

 訴訟では、日本人夫婦は民法に基づいて同姓が強制されるのに対し、日本人が外国人と結婚した場合には戸籍法の規定により同姓か別姓を選べる点に着目。日本人同士の結婚にだけ夫婦別姓を認めない現在の法制度は、法の下の平等を保障する憲法一四条などに違反すると主張する。

 青野さんは「今の日本には生き方、働き方など多様な価値観がある。結婚しても姓を変えたくないという人もいる。そういう多様な個性を尊重できる社会を目指すべきで、今回の訴訟が一つの契機になればいいと思う」と話す。

  (岡本太)

<民法と戸籍法> 民法七五〇条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と規定し、夫婦同姓の根拠となっている。一方、日本人が外国人と結婚した場合、外国人に戸籍がないため、民法の適用外となり、夫婦別姓となる。ただ、結婚などに伴う手続きを定めた戸籍法の規定により、届け出によって夫婦同姓を選ぶことができ、事実上、同姓か別姓か選択できる仕組みになっている。

 

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