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【社会】

新成人 晴れ着着られず 振り袖業者 突然の行方不明

振り袖レンタル・着付け業者「はれのひ」のホームページ

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 成人の日の八日、横浜市などに店舗を持つ振り袖レンタル・着付け業者「はれのひ」と契約していた新成人らから、「店に行ったが誰もいない」「店と連絡が取れない」といった苦情が警察や自治体に相次いだ。本紙の調べでは、苦情は少なくとも約百六十件に上り、一生に一度の成人式で晴れ着を着られなかったり、式への出席を取りやめたりする人も多くいた。

 「はれのひ」は横浜市、東京都八王子市、茨城県つくば市、福岡市に計四店舗ある。横浜市中区にある店舗は、入り口に休業を告げる張り紙が掲示され、従業員の姿はなかった。市内の警察署には、本紙の取材で約六十件の相談があった。

 同市栄区の女性(55)は、長女(20)の振り袖を約四十万円で購入。クリーニングのため預けたが、振り袖は返却されていないという。女性は友人を頼って別の着物を用意し、「買う時は親切だったのに、なぜこうなったのか」と憤った。

 警視庁八王子署によると、八日午前四時ごろから交番などに「着付けを予約したのに店が閉まっている」といった相談が約百件寄せられた。つくば市でも、着付けやレンタルを申し込んだ複数の人が「店と連絡が取れない」などと警察に訴えたという。

 ホームページや信用調査会社の東京商工リサーチによると、はれのひは二〇〇八年十月に創業し、社長は篠崎洋一郎氏。一二年七月末に横浜に直営店を出店した。一六年九月期の売上高は四億八千万円。

◆近隣店が着付け

 成人式当日に振り袖が着られなくなった新成人の力になろうと、近隣の店舗はレンタルや着付けの協力を申し出た。

 インターネットの会員制交流サイト(SNS)では、八日朝から「お手伝いできることがあればご相談ください!」「お困りのお客さま、緊急で対応いたします!」などの発信が相次いだ。

 八王子市の「フォトスタジオプライム」は、駆け込んだ六人の振り袖などを用意した。「ショックで取り乱し、涙を流している方もいました」と同店の森朝陽(あさひ)さん(27)。

 着付けが終わるとみんな笑顔になり、「ありがとうございました」と、スタッフと記念撮影する人も。森さんは「喜んでいただけてよかった」と振り返った。

 歌手松任谷由実さんの実家で知られる同市の「荒井呉服店」も予約した約百人に加え、三人を受け入れた。専務の石毛立介(りゅうすけ)さん(39)は「成人式は一生に一度。あきらめた人もいるかもしれないと思うと、複雑な気持ちです」と声を落とした。(内田淳二)

 

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