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【社会】

皇居で歌会始の儀 お題は「語」 最年少入選12歳

天皇、皇后両陛下、皇族方が出席されて行われた「歌会始の儀」=12日午前、宮殿・松の間で(代表撮影)

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 新春恒例の「歌会始の儀」が十二日、皇居・宮殿「松の間」で開かれた。今回の題は「語」。天皇、皇后両陛下や皇族、一般の入選者らの歌が、伝統的な節回しで披露された。

 「語りつつあしたの苑(その)を歩み行けば林の中にきんらんの咲く」。天皇陛下は、戦後間もない時期を過ごされた東京都小金井市で初めて目にしたキンランという黄色い花を、現在の日課である散策中に皇居・東御苑で見つけたことを振り返った。

 来年四月三十日で「平成」は幕を閉じる。皇后さまは「語るなく重きを負(お)ひし君が肩に早春の日差し静かにそそぐ」と詠み、長年、象徴天皇という重責を担いながら歩んだ陛下への思いを込めた。

 皇太子ご夫妻は、昨年十一月に訪問した宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区で交流した東日本大震災の被災者への思いや、同地区の生活基盤が整いつつあることへの喜び、安堵(あんど)の気持ちを表現した。

 十一月に結婚し皇室を離れる秋篠宮家の長女眞子(まこ)さまは、今回が最後。二〇一六年のパラグアイ訪問での、現地の日本人や日系人との触れ合いをしたためた。

 儀式には療養中の皇太子妃雅子さまは見合わせた。

 一般応募のうち、記録が残る一九四七年以降、歴代最年少の十二歳で三人目の入選者となった長崎県佐世保市の中学一年中島由優樹(ゆうき)さんら十人も招待された。

   ◇

 天皇陛下と皇族、召人、選者の歌は次の通り。(仮名遣いと振り仮名は原文のまま)

 ▽天皇陛下

 語りつつあしたの苑(その)を歩み行けば林の中にきんらんの咲く

 ▽皇后さま

 語るなく重きを負(お)ひし君が肩に早春の日差し静かにそそぐ

 ▽皇太子さま

 復興の住宅に移りし人々の語るを聞きつつ幸を祈れり

 ▽皇太子妃雅子さま

 あたらしき住まひに入りて閖上(ゆりあげ)の人ら語れる希望のうれし

 ▽秋篠宮さま

 村人が語る話の端々(はしばし)に生業(なりはひ)の知恵豊かなるを知る

 ▽秋篠宮妃紀子さま

 人びとの暮らしに寄りそふ保健師らの語る言葉にわれ学びけり

 ▽秋篠宮家長女眞子さま

 パラグアイにて出会ひし日系のひとびとの語りし思ひ心に残る

 ▽常陸宮妃華子さま

 遠き日を語り給へる君の面(おも)いつしか和(なご)みほほゑみいます

 ▽寛仁親王妃信子さま

 我が君と夢で語りてなつかしきそのおもひでにほほぬれし我

 ▽寛仁親王長女彬子さま

 祖母宮(おほばみや)の紡がれたまふ宮中の昔語りは珠匣(しゆかふ)のごとく

 ▽高円宮妃久子さま

 学び舎(や)に友と集ひてそれぞれに歩みし四十年(よそとせ)語るは楽し

 ▽高円宮家長女承子さま

 友からの出張土産にひめゆりの塔の語り部をふと思ひ出づ

 ▽高円宮家三女絢子さま

 気の置けぬ竹馬の友と語り合ふ理想の未来叶ふときあれ

 ▽召人

 黒井千次さん

 語るべきことの数々溢れきて生きし昭和を書き泥(なづ)みゐる

 ▽選者

 篠弘さん

 街空に茜(あかね)は冴ゆれ語らむと席立ちあがるわが身の揺らぐ

 三枝昂之(さいぐさたかゆき)さん

 語ることは繋ぎゆくこと満蒙(まんもう)といふ蜃気楼阿智村(あちむら)に聞く

 永田和宏さん

 飲まうかと言へばすなはち始まりて語りて笑ひてあの頃のわれら

 今野寿美(すみ)さん

 歌びとは心の昔に触れたくてたそがれ色の古語いとほしむ

 内藤明さん

 語り了(を)へ過ぎにし時間かへり来ぬ春の雪降る巻末の歌

 ▽入選者

 米国カリフォルニア州 鈴木敦子さん

 母国語の異なる子らよ母われに時にのみ込む言葉もあるを

 長野県 塩沢信子さん

 片言の日本語はなす娘らは坂多き町の工場を支ふ

 広島県 山本敏子さん

 広島のあの日を語る語り部はその日を知らぬ子らの瞳(め)の中

 福井県 川田邦子さん

 突風に語尾攫(さら)はれてそれつきりあなたは何を言ひたかつたの

 長崎県 増田あや子さん

 いつからか男は泣くなと言はれたり男よく泣く伊勢物語

 東京都 川島由紀子さん

 耳元に一語一語を置きながら父との会話またはづみゆく

 神奈川県 三玉一郎さん

 語らひに時々まじる雨の音ランプの宿のランプが消えて

 神奈川県 浜口直樹さん

 多言語の問診票を試作して聴くことの意味自らに問ふ

 新潟県 南雲翔さん

 通学の越後線でも二ヶ国語車内放送流れる鉄橋

 長崎県 中島由優樹さん

 文法の尊敬丁寧謙譲語僕にはみんな同じに見える

 

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